食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

論文

  • 新しい料理の訓練は中華持ち帰り料理のナトリウム量を相当減らす

New cooking training significantly decreases sodium levels in Chinese take-out meals
30-May-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-05/s-nct052518.php
Public Health Reports。中華料理は塩が多いことで有名だがシェフやオーナーに訓練をすることで味に変化無く相当減らせる。
テンプル大学のアジア健康センターが「健康的中華テイクアウトイニシアチブ」として206のフィラデルフィア近郊低所得地域中華テイクアウトレストランのシェフを訓練した。このイニシアチブには以下が含まれる
・専門家による文化に即した健康的低塩調理の訓練
・レシピや計量スプーンなどの低塩調理に必要なものの提供
・市全体への減塩マスメディアキャンペーン
・毎年のブースター訓練とコンプライアンスチェック
最初の訓練から36か月後に調べたナトリウム含量は相当減っていた

  • リサイクル電気製品は日用品に有害物質が含まれることにつながる

Recycled electrical products lead to hazardous chemicals appearing in everyday items
30-May-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-05/uop-rep052918.php
新しい研究によると、業者がリサイクル電気製品を黒いプラスチックの原料に使っているため、臭素アンチモン、鉛などの有害物質が食品と接触する物質やその他の日用品にみつかるようになった。Environmental Internationalに発表。

  • 40年曖昧だった:スチレンはおそらく発がん性

After 40 years in limbo: Styrene is probably carcinogenic
30-May-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-05/au-a4y053018.php
デンマークAarhus大学の登録ベースの研究により新しいヒトでの根拠が提供され、WHOがプラスチック製品中にみられるスチレンはおそらくヒト発がん性であると決めた。この決定はデンマークの登録の価値を強固なものにする
Epidemiologyに発表された研究は、7万人以上のスチレンを使う労働者の中から25例の急性骨髄性白血病を発見し、それは統計学的に予想される10例より多いことを報告した。
(IARCモノグラフの根拠に使われたことを宣伝するAarhusのプレスリリース
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20180423#p4
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20170215#p8
ハザードだけに注目することはいい加減止めよう。原材料を扱う労働者でこのくらいの大きさのリスクなら、日常生活でポリスチレン使ったからといって心配するようなレベルではない)

  • 本物のトリュフを嗅ぎ分ける

Sniffing out real truffles
30-May-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-05/acs-sor053018.php
トリュフは高価でその芳香が名高く、多くのトリュフ入りと宣伝している商品がある。しかし一部は安価な代用品を使っている。食品偽装検出のために、天然物と合成化合物を識別する方法を開発しAnalytical Chemistryに発表した。
白トリュフ(Tuber magnatum Pico)は最も高価なトリュフでその芳香の重要成分はビス(メチルチオ)メタンである。この化合物が天然か合成かを炭素同位対比で識別する。

  • 直腸結腸がんが若い人で増えているため、新しいガイドラインでは45才での検診開始を推奨

As colorectal cancer rises in young people, new guidelines recommend screening start at 45
30-May-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-05/uoca-acc053018.php
Cancerに発表された研究。現行のガイドラインでは50才からとなっているものを45才から75才にすることを提案。
(がん検診の最適化、常に見直し。75才すぎたら検診はしない、というのも重要)

Rapid response to HPV vaccination crisis in Ireland
Brenda Corcoran et al.,
The Lancet, Volume 391, No. 10135, p2103, 26 May 2018
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(18)30854-7/fulltext
アイルランドでは2010年から12-13才の少女に学校でHPV予防接種をする計画が始まった。2.14-15年には86.9%のカバー率だったが2015-16年は72.3%、2016-17年には推定50%まで低下した(グラフ有り)
この低下は2015年にできた反ワクチンロビー団体によるワクチンの安全性への懸念提示によるもので、このグループはソーシャルメディアに強力なプラットフォームを作って情動に訴える個人の体験談を政治家などに訴え、地元及び全国ネットのメディアの協力により間違った情報を拡散した。2015年12月には全国テレビで「子宮頸がんワクチン−それは安全か」というドキュメンタリーの放送に至った。
直接接触無しに保護者の信頼を回復するのは困難なので、アイルランドの国立予防接種局の著者ら2016年初めに関連団体と専門グループを作り予防接種推進関係者を励ました。そしてソーシャルメディアに集中的に関与した。2017年8月にはHPV予防接種アライアンスを始動しHPVワクチンの啓発を行った。2017-8年にはメディアキャンペーンを開始し、今や多くの団体が予防接種を支持し、予防接種を受け損ねた少女にも別に機会を与えるなどして予防接種のカバー率は2016-17年の55.8%から2017-18年の61.7%に上昇した。
強力な横断的連携組織を作ったことがこの迅速な改善につながった。それは日本やデンマークのように同様の急激な予防接種率の低下があった国とは対照的である。このポジティブな活動を維持することが重要である。

  • 高タンパク質食は中年男性の心不全リスクのわずかな増加と関連

High protein diet associated with small increased heart failure risk in middle-aged men
29-May-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-05/aha-hpd052418.php
Circulation: Heart Failureに発表された42-60才の2441人の男性を平均22年フォローした研究。タンパク質の摂取に関しては4群に分けて解析。最も多く食べる人と最も少なく食べる人を比べた場合、
・全てのタンパク源について33%リスクが高い
・動物タンパク質では43%
・乳タンパクでは49%
・植物タンパク質では17%

  • 強力なアルコール政策が米国でのアルコール関連交通事故死を減らすのに役立った

Stronger alcohol policies help reduce alcohol-related crash deaths in US
29-May-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-05/bmc-sap052518.php
JAMA Internal Medicine

Ovarian cancer statistics, 2018
29-May-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-05/acs-ocs052518.php
米国がん学会が卵巣がんの概要をCA: A Cancer Journal for Cliniciansに発表
・2018年に新たに米国で卵巣がんと診断されるのは22240、卵巣がんによる死亡は14070と予想される
卵巣がん全体の発症率は1985年から2014年の間に29%低下、死亡率は1976年から2015年の間に33%低下
卵巣がんの最大のリスク要因は家族歴
・家族歴のある女性の症例ではBRCA1と BRCA2の変異が約40%
・5-9年経口避妊薬を使用した女性では約35%リスクが減る
・検診の有効性は示されていない、検診は現在推奨されていない

Infant mortality rates higher in areas with more Christian fundamentalists, study finds
29-May-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-05/psu-imr052518.php
Journal for the Scientific Study of Religionに発表されたポートランド州立大学の研究。1990年から2010年のデータを用いて、周産期と4週から1年までの死亡率への信仰の影響を調べた。乳児死亡率は保守的プロテスタント、特に原理主義者の多い郡で主流派プロテスタントカトリック教徒の多い郡より高かった。これは成人の死亡率の傾向を反映している

  • オンライン医師レビューサイトのデータは歪んでいる可能性があり消費者を誤解させている、新しい研究が発見

Data from online physician review sites may be skewed and misleading to consumers, new study finds
29-May-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-05/cmc-dfo052918.php
Journal of Medical Internet Researchに発表されたCedars-Sinai医療センターの研究
医療機関の満足度サイトによるランキングは一貫してポジティブな方向に歪んでいて、患者を誤解させている。

  • 新しい研究は肺がんリスクが禁煙5年以内に相当低下することを発見

New research finds lung cancer risk drops substantially within five years of quitting
29-May-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-05/vumc-nrf052918.php
JNCIに発表されたFramingham Heart Studyの新しい解析によると、数年前に禁煙しただけでは肺がんリスクは無くならないが、相当低下する。
主著者のHilary Tindle博士は「もしあなたが喫煙しているなら、辞める良い時期である」。