食品安全情報blog過去記事

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その他

Natureコメント
Pandemics: spend on surveillance, not prediction
07 June 2018 Edward C. Holmes et al.,
https://www.nature.com/articles/d41586-018-05373-w
次に流行するウイルスを予測できることを期待して膨大な予算をつぎ込んできたが予測はできない。予測して早期に対応できるという誇大な宣伝をすることで反応が遅いと批判され人々の科学への信頼を毀損してきた。よりシンプルで費用対効果の高いサーベイランス強化に集中すべきだ。
地震予知みたいになっている)

  • 欧州のトップ科学アドバイザーが食糧生産について明確なメッセージを送る

Natureエディトリアル
Europe’s top science advisers send clear message on food production
05 June 2018
http://www.nature.com/articles/d41586-018-05327-2
植物保護についての報告は現在の農業の意志決定の断片化を強調
EUの主任科学アドバイザーグループが6月4日に発表した意見文書は、表向きはEUにおける植物保護製品(主に殺虫剤と除草剤)の認可方法について議論している。しかしそれはEUの農業の悪名高い官僚制度と複雑な意志決定メカニズムをどう改革するかにまで踏み込んでしっかりした助言を提供している。そして行間に書かれているのは明確でシンプルなメッセージである、それは遅かれ早かれ欧州が検討する必要のある、欧州の食糧生産へのアプローチは断片化していて将来の需要に対してあきれるほど不適切である。
この報告書は「科学的視点からの」一連のペーパーの最新のものである。それは例えば欧州委員会はどうやってその農業、食糧、環境、研究の方向を統合できるのかといった議論に加わるだろう。欧州が持続可能な未来のために首尾一貫した計画を作るのに重要であろう。現時点では、GMOの研究と応用のように、全域で政策決定が簡単に麻痺する。そして昨年のグリホサートの認可を巡る議論のように、このプロセスへの信頼が不足している。
この報告ではすぐにでも採用できるあるいはすべきいくつかの透明性改善助言をしている。新しい公開のITプラットフォームを作ってデータや情報を蓄積する、企業のつかう安全性データを作るラボの事前登録、等(いろいろ略)
もっと基本的なこととして、この報告書では認可プロセスの構造的システム的変更を助言している。それは許容できるリスクのレベルを明確にすること(現在の規制では予防原則が発動していて健康や環境に全く害を与えないことを要求している、それは現実には不可能である)、何もしないこと(例えば農薬を使わない)もまたリスクとなることを認識することなどを含む。さらにリスク評価プロセスをECの管理下におくことを薦めている(現在は加盟国に外注されている)。
こうした変更は実行が難しいだろう。国の政治家はコントロールの権限を渡さないだろう−特にドイツのような反GM感情が大きな影響を持っているところでは。
最新報告の特に賢明なところは、そのような政治的変更を可能にするためには、公衆の議論を農業の単一問題に集中するのではなく社会のより大きな問題−どうやって食品生産の質を確保しつつ持続可能な農業を作りたいか、それにたいしてどのくらい負担できるか−にシフトすべきと認識していることである。殺虫剤や除草剤には役割があるが、農業;肥料、フードチェーン、環境保護一般との関係は複雑で時に矛盾する。例えば殺虫剤を厳しく管理すれば他の側面に影響し社会にとってコストとベネフィットの両方がある。そのような議論は厳密に科学的な視点を超え、価値観や判断を含むだろう。
欧州委員会は全ての関係者を含むハイレベルワークショップを開催すべきだろう。良い助言だけでは十分ではない。
Authorisation processes of plant protection products in Europe
https://ec.europa.eu/research/sam/index.cfm?pg=pesticides

  • 我々の食糧システムを修正するにはより良い指標が役にたつだろう

Natureワールドビュー
Smarter metrics will help fix our food system
Pavan Sukhdev  05 June 2018
https://www.nature.com/articles/d41586-018-05328-1
Pavan Sukhdevは、より包括的な評価技術が公開され、作物の収量を増やすことだけではなくより良い生活についてもっと考えようと言う
今日の食糧システムは壊れている。食生活が病気の原因で、世界で8億人が飢餓に苦しんでいるのに20億人以上が肥満又は過体重である。世界の温室効果ガス排出量の57%もが食品関連である。このシステムを評価する指標の不適切さに驚かずにはいられない。「1ヘクタールあたりの生産性」がよく使われるがあまりにも狭い。複雑な相互作用を考慮した別の指標が必要である。
他の分野では広い指標が役にたっている。健康の専門家はカロリー数だけでは栄養が語れないことを知っている。
私達は150人以上が4年かけてより包括的な食品の指標の枠組みと方法論を開発し、国連環境計画に今週発表した。「農業と食品の経済と生態系と生物多様性(TEEBAgriFood)」という
http://teebweb.org/agrifood/home/scientific-and-economic-foundations-report/
(収量で圧倒的に劣るオーガニックをなんとか価値あるものにしようという試みに見える。反農薬反GM反人工のもの反照射反大規模農業反グローバリズム。自分で作らないと食べられないようになれば肥満は無くなる?世界人口が減れば環境負荷は減るだろうけれど、自分たちは生き残る側だと思ってる?
食糧安全保障から食糧主権物語へFrom FOOD SECURITY TO FOOD SOVEREIGNTY NARRATIVESという文言が象徴するように、貴族の道楽にしか見えない。)