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剤耐性(MDR)、コリスチン耐性大腸菌がベトナムの村で蔓延

Multi-drug-resistant (MDR), colistin-resistant E. coli bacteria pervasive in Vietnam village
June 9, 2018
http://outbreaknewstoday.com/multi-drug-resistant-mdr-colistin-resistant-e-coli-bacteria-pervasive-vietnam-village-22159/
大阪大学の山本容正博士の研究グループは、ベトナムのある農村の住人の多くが、多剤耐性(MDR)かつコリスチン耐性の大腸菌保有していることを明らかにした。コリスチンは通常、他の治療法がない場合に、最終手段の治療法として用いられる。
コリスチン耐性大腸菌は、ベトナムのNguyen Xa村の住人の71.4%から検出された。コリスチン耐性大腸菌保有している家族がいた世帯の割合は極めて高かった(80.6%)。分離されたコリスチン耐性大腸菌70株のうち、69株がmcr-1遺伝子またはmcr-3遺伝子、ないしはそれらの両方を有していた。いずれかのmcr遺伝子を有していたコリスチン耐性大腸菌の91.4%がMDRであった。
調査は2017年の11月から2018年の2月まで実施された。Nguyen Xa村はベトナムの典型的な農村で、2015年の数字で世帯数は2,008戸、住人数は7,730人であった。36世帯の98人の健康な被検者から糞便試料を採取し、選択培地を用いてコリスチン耐性大腸菌の検査を行った。
近年の報告では、家畜分野でコリスチンが濫用されたために、コリスチン耐性菌が世界的に蔓延していることが示されている。また、2015年にはmcr-1などの可動性抗菌剤体制遺伝子が見つかり、コリスチン耐性が他の細菌にさらに広まる可能性が示唆されている。Mcr遺伝子を保有するコリスチン耐性細菌に関する大規模な調査が、感染症由来株および家畜由来株について実施されているところである。mcr遺伝子によるコリスチン耐性は、世界の公衆衛生における新興の脅威となっている。
可動性耐性遺伝子を持つコリスチン耐性細菌を住人が保有することで、難治性の感染症に罹患するリスクが高まる可能性がある。