食品安全情報blog過去記事

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その他

  • ゼロ炭素法案−専門家の反応

SMC NZ
Zero Carbon Bill – Expert Reaction
June 21st, 2018.
https://www.sciencemediacentre.co.nz/2018/06/21/zero-carbon-bill-expert-reaction/
政府が提案したゼロ炭素法案は2050年までにニュージーランドが低排出経済に移行するための計画を示す。
6月7日からこの法案への公開意見募集が始まっている
(以下専門家の意見等略。畜産部門の温室効果ガス対策も課題の一つになっているのがニュージーランドらしい)

  • 議論を経て、米国はくっつかない化学物質の健康リスク増加を示す報告書を発表

Scienceニュース
After controversy, U.S. releases report showing elevated health risks from nonstick chemicals
By Ariel Wittenberg, E&E News Jun. 20, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/06/after-controversy-us-releases-report-showing-elevated-health-risks-nonstick-chemicals
E&E Newsから
Donald Trump大統領は、くっつかない化学物質についてEPAが以前安全とした量より有意に低い濃度でヒト健康に有害である可能性があることを示す、政治的関心の高い毒性学的報告書を発表した。
保健福祉省の有害物質疾病登録局(ATSDR)の報告書案は4種類の防水・防汚染化合物の毒性学的性質を記す。それによるといわゆる「最小リスクレベル」はEPAが2016年に設定した基準の7から10分の1である。
ATSDRの報告に含まれる最も低い濃度は飲料水中で12pptで、現在のEPAの2種類のPFASの最大基準より80%以上低い。
一方2016年のEPAのPFOAとPFOSの任意の健康助言では70 ppt以上だと危険な可能性があると警告していた。
この報告書の発表は、ホワイトハウスの担当官が1月にこの報告書を発表したら「広報活動の悪夢になるだろう」と警告した、というニュースが先月出回って、両サイドの議員から圧力が高まった後である。
先週上院はトランプ政権に法案通過後7日以内に毒性報告書を発表することを要求する国防総省支出法案改定を提案したばかりである。下院もEPAホワイトハウスに報告書を発表するよう要求する文書を送っていた。
この報告書の発表についてCarol Shea-Porter (D-NH)下院議員は「何ヶ月も政権がこの報告書の発表を遅らせたのは、我々の公務員への信頼を裏切る非常識な行為だ」という。Dan Kildee (D-MI)下院議員はこの報告書の知見は「PFASがこれまでEPAの言っていたより危険だということを示し大きな懸念である」という。「Trump政権はPFAS汚染問題にもっと迅速に対応すべきである」

報告書案:意見募集
https://www.eenews.net/assets/2018/06/20/document_gw_08.pdf
対象物質は以下の14
Perfluorobutyric acid (PFBA)
Perfluorohexanoic acid (PFHxA)
Perfluoroheptanoic acid (PFHpA)
Perfluorooctanoic acid (PFOA)
Perfluorononanoic acid (PFNA)
Perfluorodecanoic acid (PFDeA)
Perfluoroundecanoic acid (PFUA)
Perfluorobutane sulfonic acid (PFBuS)
Perfluorohexane sulfonic acid (PFHxS)
Perfluorooctane sulfonic acid (PFOS)
Perfluorododecanoic acid (PFDoA)
Perfluorooctane sulfonamide (PFOSA)
2-(N-Methyl-perfluorooctane sulfonamide) acetic acid (Me-PFOSA-AcOH)
2-(N-Ethyl-perfluorooctane sulfonamide) acetic acid (Et-PFOSA-AcOH)

経口MRLsが
PFOA 3x10-6 mg/kg/d
PFOS 2x10-6
PFHxS 2x10-5
PFNA 3x 10-6
他はデータ不足
エンドポイントが免疫と発達影響

  • 米国の科学者数百人が動物研究の透明性を高めることを強く求める

Hundreds of U.S. scientists urge more transparency in animal research
By Meredith WadmanJun. 20, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/06/hundreds-us-scientists-urge-more-transparency-animal-research
寡黙だった歴史を打ち破り、600人近くの科学者、学生、実験動物関係者らがUSA Todayに米国の研究機関の動物を使った研究の公開性を呼びかける文書を発表した。
「我々は科学と医学の発展のためにどのように動物が使われているのかを誇りをもって説明すべきだ」
動物実験に反対しているPETAは透明性の呼びかけには賛成する。そして「動物で安全で有効だった新薬の95%が臨床試験で失敗しているのになぜまだ使うのかを説明して欲しい」という

文書
Nobel Prize Winners lead the call for greater openness in animal research
https://speakingofresearch.com/2018/06/20/nobel-prize-winners-lead-the-call-for-greater-openness-in-animal-research/

  • 音波攻撃か集団パラノイアか?新しい根拠は外交官の謎の病気を巡る議論をかきたてる

Sonic attack or mass paranoia? New evidence stokes debate over diplomats’ mysterious illness
By Richard StoneJun. 20, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/06/sonic-attack-or-mass-paranoia-new-evidence-stokes-debate-over-diplomats-mysterious
その謎は2016年後半に始まった。ハバナの米国大使館職員が奇妙な大きな音を聞いたり圧力を感じたりした後、頭痛やめまい、不眠などの症状を発症した。その後何十人もの職員がキューバから引きあげ、国際的緊張が高まってきた。今月米国国務省が、キューバと同様の症状で中国広東省の領事館職員が何人も帰国したと報告して謎は拡大した。18ヶ月経って理由は不明だが仮説は無数にある。もと国務長官Rex Tillersonは「健康への攻撃」だといい、神経科学者や心理学者はストレスのせいだという。匿名の大使館員はScienceの取材に対して「暗示とパラノイアの嵐だった」と同意する。
しかし物理的原因のヒントをみつけた研究者もいる。2月にPennsylvania大学のチームが症状の出た大使館職員に神経学的欠損を記述している。フロリダにあるマイアミ大学耳鼻咽喉科医Michael Hofferらはハバナ大使館から避難してきた2ダースの人たちに独特の前庭と認知異常を記述した。彼らはなんらかのエネルギー放出装置が内耳障害を引き起こした可能性があると信じている
症状の原因は何であれ、病気になったのは職員の一部である。
キューバの科学者は米国の根拠を評価し独自のデータも集め、不自然な音はうるさいので有名なコオロギ類であるとしている。
時間とともに攻撃だと信じている人たちとそれを疑わしいと思っている人たちの間の溝は深まっている。米国もキューバ当局も決定的な謎の説明ができていない
(いろいろ略)
化学物質過敏症を巡る議論に似ているのだが国家間の緊張を高めるため影響は深刻)