食品安全情報blog過去記事

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査察報告

  • 米国―EU輸出用ピスタチオの汚染

2017-6080 - Contamination in pistachios intended for export to the European Union - United States US
2018-4-5
http://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=3946
2017年9月5〜12日に米国で実施されたEU輸出用ピスタチオのアフラトキシン汚染を管理するシステムを評価するための査察。
生産者は、農園の管理やアフラトキシン産生カビによるピスタチオの汚染防止法において、多くの進展を遂げていた。加工業者は、優良製造規範や、アフラトキシンリスク管理と処置対策を適切に取り入れていた。輸入ピスタチオの積送品は、ほとんどがアメリカ合衆国農務省(USDA)認証検査室で実施される自主的なアフラトキシの分析を受けている。
だが、前回の査察時の助言に対して米国の管轄機関が尽力を表明しているにもかかわらず、EU輸出用ピスタチオに適用される公的管理が無く、サンプリングや分析の方法および報告手続きが規則(EC) No 401/2006と同等ではない可能性があるなどのため、規則(EC) No 1881/2006で定められたアフラトキシン上限が遵守されていることが保証できていない。
米国から輸出されるピスタチオの積送品がアフラトキシン汚染のためにEU加盟国に拒否された場合、食品と飼料に関する緊急警告システム(RASFF)基づいて米国の機関に通知が送られているが、それらの通知は根本的原因の調査や予防手段の実現のために適切にフォローアップされていない。

  • トルコ―有機生産基準と管理手段

2017-6068 - Organic production standards and control measures applied by a recognised Control Body operating in Turkey - Control Body XC
2018-4-5
http://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=3947
2017年11月22日〜12月1日に実施した、トルコで承認された管理団体(CB)が適用した有機生産基準と管理手段を評価するための査察。
CBは、概ね欧州委員会が承認するものと同等の生産規則と管理手段を適用している。最も適切な時期に実施される毎年の検査と抜き打ち検査が行われ、これらは概して効果的である。CBは多数のサンプルを採取し、分析によって有機製品に認可されていない物質を検出した全事例をフォローアップしている。法令違反が確認された事例では、ほとんどの場合適切な強制措置が取られている。
だが、事業者施設での抜き打ち検査とサンプリング、およびEU輸出用積送品の物理的照合は、必ずしも事業者のリスクプロファイルに基づいて計画されているわけではないため、CBが採用している管理システムの効果は減弱している。さらに、検査は、有機生産と加工にのみ焦点を当てており、事業者の非有機生産活動の管理を軽視している。
CB支所からの管理活動についてのフィードバックが遅延しており、CB本部は適切な概要把握ができないため、必ずしも全ての活動について計画通りの実行を保証できているわけではない。CBはこの問題に気付いており、査察時はこの状況を改善するための新しいデータベース管理や認証システムを導入している最中であった。

  • ロシア―生きた動物および動物製品における残留物質と汚染物質

2017-6290 - Residues and contaminants in live animals and animal products - Russian Federation RU
2018-3-16
http://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=3937
2017年10月9〜20日に実施。以下の点と、前回の査察を受けて実施された是正内容を評価することを目的とした。
(a)EUですでに承認された残留物質監視計画がもたらす保証の達成度と信頼性
(b)管轄機関が委員会決定2011/163/EUの附属書に含めるよう要請している農畜水産物(飼育猟獣‐ムルマンスク地方やヤマロネネツ地方以外の地域のトナカイ、および水産養殖製品)に対して追加で行われる残留物質監視計画がもたらす保証
(c)EU輸出向け製品がEU法の残留基準値を遵守していることを保証するために国レベルで実施される措置の履行
ロシア連邦の年次残留物質監視計画は、良好な時期に立案され、年間を通してサンプリングが(適切な時期に)分散して実施されることになっており、タイムリーな履行が可能となっている。だが、動物用医薬品のいくつかについて残留物質検査が行われていない、また加工製品のサンプリングや検査を行う方針がない、農場段階で誤用されている動物用医薬品を最終製品で検出する可能性が低いなどのため、計画の有効性が低減している。
非遵守の結果については適時にフォローアップが為されているが、所轄機関がその原因を特定する能力は、上述のサンプリング方針の欠如や農場が獣医療処置を記録する法的義務がないために、減弱している。
検査室ネットワークの実力に関しては、(a)全ての検査法が適切に検証/認証されているわけではない、(b)多くの検査法が適切に品質管理を受けていない、という事実のため、結果の信頼性が損なわれている。特に、キャビアとトナカイの肉の動物用医薬品残留物に関しては、検査室で採用している方法についての立証/認証データがない。
動物用医薬品の認可、販売、使用に関わる公的管理はシステムは、2014年とさほど変わり無く、動物製品がEUのMRLsを遵守していることを保証することにおいて、それほど貢献していない。
一連の化学物質を食品生産動物で使用禁止(EUの状況と同等)とすることに関して以前に言い渡された取り組みは、結局実現しなかった。すなわち、EUで明確に禁止されている物質が、動物への使用の記録を定めた法的要件も無く、ロシア連邦で店頭販売され続けている。
2014年以降監視計画が改善されていることは認められるが、その実施面で確認された欠点は、動物用医薬品が自由に入手できることと相まって、この計画がもたらす保証の信頼性を減弱している。