食品安全情報blog過去記事

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飼料にヨウ素を使うことに対するFEEDAPパネルの意見

Opinion of the FEEDAP Panel on the use of iodine in feedingstuffs
21 February 2005
http://www.efsa.eu.int/science/feedap/feedap_opinions/808_en.html
ヨウ素はヒト及び動物における必須微量元素で、甲状腺ホルモンの材料として使われて多数の細胞機能調節作用を示す。ヨウ素欠乏は生殖能・脳の発達・成長などに影響する。現在ヨウ素は飼料に添加されているため、動物で臨床的に明らかなヨウ素欠乏症は希である。
EFSAは異なる動物種におけるヨウ素の生理的必要量を評価することを依頼された。
動物におけるヨウ素の必要量は0.1から1.1mg/kg飼料の間で、ネコの場合は2mg/kg飼料と高い。同じ種でも成長や生殖・授乳などの条件によって必要量は変わってくる。植物飼料にはヨウ素含量が少ないので、ほとんどの場合ヨウ素の添加が必要である。
限られたデータからは最大耐用飼料中濃度はウマで3mg/kg飼料、卵を産むニワトリで5mg/kg飼料、養殖魚で60mg/kg飼料以上、イヌで4mg/kg飼料、ネコで6mg/kg飼料と考えられる。ブタと魚のヨウ素耐用量はEU規制値(飼料中濃度でウマ4, 魚20 その他10 mg/kg飼料)より遙かに高い。現時点では乳牛・子牛・肉用ニワトリ・七面鳥・羊・ヤギ・ウサギの安全上限は決定できない。
ヨウ素添加量が多いと主に尿中に排泄されるが、ミルクや卵にも排出され、一部は体に蓄積する(魚を除く)。地上の動物ではミルクと卵に濃度が高い。動物由来食品中のヨウ素濃度に関するデータからは、ヨーロッパにおいて飼料に添加したヨウ素に由来するヒトでのヨウ素の過剰摂取のリスクはないと考えられる。
しかしながら現行の規制値の最大量を添加した飼料を与えた場合のミルクと卵からのヨウ素摂取量は最悪のシナリオで成人のヨウ素摂取量上限を超える。最大添加量を乳牛と卵を産むニワトリについて10 mg/kg飼料から4 mg/kg飼料に減らせば安全性については満足できる。魚については問題はない。
FEEDAPパネルは、ヒトのヨウ素摂取量のうちヨウ素添加飼料由来のものは主因ではなく、海藻やヨウ素錠剤やヨウ素添加飲料などが摂取量に関与することを強調しておく。
環境影響については、家畜の糞や尿から排泄されたヨウ素はバックグラウンド濃度より低く、環境リスクはないと考えられる。