食品安全情報blog過去記事

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金属の飾りを飲み込んで子どもが死亡 ミネソタ2006

Death of a Child After Ingestion of a Metallic Charm --- Minnesota, 2006 March 23, 2006 / 55(Dispatch);1-2 http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm55d323a1.htm
Reebok International Ltd社の靴のおまけのブレスレットについていたハート型の飾りを飲み込んで鉛脳症で死亡した子どもの症例を紹介する。
2006年2月中旬に、小頭症と発達遅延の病歴のある4才の少年がミネアポリスの小児救急外来に運び込まれた。主訴は嘔吐で、ウイルス性腸炎が疑われ、制吐剤オンダセトロンを処方され、両親には水分補給をするようにと依頼して帰宅した。2日後にまた難治性嘔吐と食欲不振、お腹が痛いこと、無力状態で救急外来を訪れた。脱水症状があり血中ナトリウム濃度は正常で尿素窒素濃度が上昇していた。静脈点滴を行い入院した。
次の日(入院から10時間後)少年は興奮し、放射線科に移送する途中で呼吸困難になった。蘇生術を施し人工呼吸機を装着した。頭部と胸部のCTスキャンと腹部X線撮影を行った。CTスキャンでは散在性の大脳浮腫が観察され、緊急脳室吻合術と減圧開頭術が行われた。
腹部レントゲン写真でハート型の物体が観察され、胃にあることがわかったため重金属濃度の測定を行った。
次の日、血中鉛濃度が180 g/dLであること、脳への血流がないこと、臨床的に脳死状態であることがわかった。入院4日目に生命維持装置から外され死亡した。解剖の結果、Reebokの刻印のあるハート型の飾りが胃から摘出された。母親はそれがその子が遊びに行った別の子どもの靴についていたものであると言った。母親は子どもがそれを飲み込んだことを気付いておらず、子どもも食べ物以外を飲み込んだ前歴はなかった。
子どもの死亡した翌日、ミネアポリス規制機関が住居の検査を行い、鉛濃度は高くないことを確認した。EPAプロトコール3050による酸消化実験でこの飾りの鉛含量は99.1%であることがわかった。ミネアポリスの店やインターネットで購入したReebokの靴のおまけの鉛濃度は67.0%であった。
アトランタジョージアでCDCのスタッフが同じブランドの靴を購入しおまけのアクセサリーを調べたところ鉛含量は0.004-0.044%であった。製品により鉛濃度に違いがあるのはこれまでの安価なジュエリーで報告されている事例でも同様である。


(この子の胃の噴門は通過したが幽門は通過しない大きさだったというのが不運だったらしい、以下関連情報)


消費者製品安全委員会 CPSC
Reebokが子どもが鉛中毒で死亡したことと関連するブレスレットをリコール
Reebok Recalls Bracelet Linked to Child’s Lead Poisoning Death
March 23, 2006
http://www.cpsc.gov/cpscpub/prerel/prhtml06/06119.html
Reebok International Ltd.社のブレスレット、33ドルから50ドルで販売された靴のおまけについていたもの。中国製。
ミネアポリスで4才の子どもがブレスレットの一部を飲み込んで鉛中毒で死亡したとの報告があった。


Dollar Tree Stores Inc.社がおもちゃのジュエリーを子どもに対する鉛中毒の危険のためリコール
Dollar Tree Stores Inc. Toy Jewelry Recalled for Lead Poisoning Hazard to Children
March 23, 2006
http://www.cpsc.gov/cpscpub/prerel/prhtml06/06118.html
ネックレスや指輪、1ドルで販売されていたもの、写真有り


鉛中毒の危険のため金属ブレスレットリコール
Lead Poisoning Hazard Prompts Recall of Metal Charm Bracelets
March 23, 2006
http://www.cpsc.gov/cpscpub/prerel/prhtml06/06538.html
Oriental Trading社の販売した中国製ブレスレット(写真有り、0.5ドル)


Reebokのプレスリリース
製品のリコールに関する社長&CEO であるPAUL HARRINGTONの声明
STATEMENT FROM PRESIDENT & CEO PAUL HARRINGTON REGARDING PRODUCT RECALL
03.23.06
http://www.reebok.com/useng/news/Recall_Statement.htm
Reebokファミリーは鉛中毒で死亡し、Reebokの名前の入った宝飾品を飲み込んでいたと報告された4才の子どもの悲劇的死を悼む。Reebokブランドの社長&CEOであり3人の子どもの父親でもある私はこの悲劇を公開する責任があることを認識し、リコールを開始する。今回の事件が何故起こってどうすれば再発が防げるのか、関係機関と協力して究明に努力する。


ミネソタ保健省
鉛中毒による子どもの死亡で子ども用ジュエリーのリコールや警告
Child’s death from lead poisoning prompts recall and warning about children ’s jewelry
March 23, 2006
http://www.health.state.mn.us/news/pressrel/lead032306.html
鉛暴露のほとんどは塗料由来であるが、鉛を含む小さな物体は重大な疾患をもたらす。
鉛含量の高い金属ジュエリーの一部を飲み込んで鉛による脳腫大により死亡した子どもの症例が発表された。飲み込んだのはブレスレットについているハート型の飾りで、リーボックのアスレチックシューズの販売促進用おまけのブレスレットについていたものである。
子どもが飲み込んだものを分析したところ99%鉛であった。一方現地保健当局が購入した同じブランドの靴についていた似たような飾りは68%鉛であった。CSPCによるジュエリーの鉛含量安全域値は0.06% (600ppm)である。
CDCとミネソタ保健省は、小さな子どもが小さな物、特に金属を口に入れないよう注意するよう親や保育者に警告している。この死亡事故によりリーボックや他の会社がリコールを行っている。


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