食品安全情報blog過去記事

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2003年から2006年の間にヒトの毒性学分野で提案された評価の科学的基本原則やガイダンスについてのPPRパネルの意見

Opinion of the Scientific Panel PPR on the scientific principles in the assessment and guidance provided in the field of human toxicology between 2003 and 2006
19 April 2006
http://www.efsa.eu.int/science/ppr/ppr_opinions/1451_en.html
2003年に設置されてから、EFSAのPPRパネルはヒト毒性分野で6つの意見(メタミドホス・ジノカップ・ダミノジド・アラクロール・メパニピリム・ジクロルボス)を採択した。これらの意見に基づき、PPRパネルは評価の科学的基本原則などについてまとめた文書を発表することにした。
これまで諮問された課題は科学的に4つのテーマ(経皮吸収・発がん性/遺伝毒性・種特異的臓器毒性・毒性を発現する代謝物)に分類される。
経皮吸収に関しては、経皮吸収測定のために計画された研究の欠如を補うために現存のデータを利用する必要性について説明した。また生物学的統一性(例えば、経皮及び経口で観察される毒性学的影響が推定される吸収率では一定であること、など)を確立することの重要性についても強調した。
発がん性については、PPRパネルは、発ガンメカニズムが明確ではなくても遺伝毒性が無いことが充分明らかであれば、閾値のあるモデルを採用する。さらにジクロルボスの意見で示したように、場合によっては、齧歯類における発がん性がDNAとの相互作用による可能性を否定できない発ガン物質についても、デフォルトとなっている閾値のないアプローチを必ずしも採用する必要はない。発がん性評価に遺伝毒性が重要であることが示されているが、PPRパネルは現在のデフォルトの立場をさらに洗練されたものにすることを提案する。
種特異的臓器作用についてはIPCSによるガンのヒトでの妥当性の枠組みHRFで示されている作用機序(MOA)アプローチを採用する。すなわち、ガン以外のエンドポイントでもこの概念を拡張して使用する。
毒性に関与する代謝物については、PPRパネルは構造-活性相関や既存データread-acrossを使用する場合には化学構造と毒性学的根拠の両方が必要であることを強調した。
今後の活動について、PPRパネルは多様な作用メカニズムについて「経験知」を積み重ねることの必要性などについて述べた。またデータの欠如を補うため、市販される農薬のデータ提出の際にヒトでのメカニズムに関する毒性学的データを追加するよう指令を改定することにも言及した。