食品安全情報blog過去記事

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オールナチュラルの化学物質のご馳走(ニューヨークポスト)

An All-Natural Chemical Feast (from the New York Post)
Elizabeth M. Whelan, Sc.D., M.P.H.
November 23, 2006
http://www.acsh.org/healthissues/newsID.1425/healthissue_detail.asp
ニューヨークポストの感謝祭号に掲載された記事。

今日人々は「化学物質」という単語を「悪い」という意味だと考えており、スーパーマーケットには「化学物質を含まない」「オールナチュラル」「純粋オーガニック」などの表示のある食品が溢れている。メディアは毎日のように、例えばアクリルアミドのような「発ガン物質」がフライドポテトなどの食品中にできること、などを報道する。
ベーコンの亜硝酸塩や甘味料のサッカリンや養殖サケのPCBなどが「発ガン物質」だと聞かされる。その根拠は?それらの物質は実験動物に大量に投与した場合にガンを誘発する。
休日のご馳走のような100%ナチュラル食品でも、毒素や発ガン物質を含むたくさんの化学物質の塊であるということを知るのは驚きだろう。
スープに始まり野菜と詰め物をした鳥とコーヒーのコースメニューを想像してみよう。これらから各種「発ガン物質」(繰り返すが実験動物に大量投与した場合の)を摂っている。
ヒドラジン(マッシュルームのスープ)
アニリン、カフェ酸、ベンズアルデヒド過酸化水素、ケルセチン配糖体、ソラレン(野菜サラダ)
ヘテロ環状アミン、アクリルアミド、ベンゾ(a)ピレン、カルバミン酸エチル、ジヒドラジン、d-リモネン、サフロール、ケルセチン配糖体(詰め物をした七面鳥のロースト)
ベンゼンヘテロ環状アミン(ビーフリブパセリソース)
・ フルフラールエタノールアリルイソチオシアネートブロッコリー、ジャガイモ、サツマイモ)
クマリン、メチルオイゲノール、アセトアルデヒドエストラゴール、カルバミン酸エチル(リンゴとカボチャのパイ)
エタノールとカルバミン酸エチル(赤白ワイン)
・ ベンゾフラン、カフェ酸、カテコール、l,2,5,6,-ジベンズ(a)アントラセン、4-メチルカテコール(コーヒー)
これらの発ガン物質は、母なる自然が与えた毒素と共に100%ナチュラルの休日の食事に含まれる。毒素としてはジャガイモのソラニンヒ素・チャコニン、リマ豆のシアン化水素、ナツメグや黒コショウやニンジンのミリスチシンなどがある。
しかし良い知らせがある。これらの食品は安全である。その理由は4つ
1) 毒素については、毒性を決めるのは量である。塩のように、高濃度で有害であっても食品中に含まれる低用量では安全である
2) 「発ガン物質」という単語はPCBのような合成化学物質のことだと思うかもしれないが天然にも実験動物にガンを誘発する物質は多数ある。
3) 天然に良くある物質の実験動物での発ガン性についての知見から、米国人が天然に普遍に存在する発ガン物質を無視して合成物質のみを追放しようとしている矛盾が明らかになった。
4) 動物実験は医学研究に必須であるが、齧歯類は小さなヒトではない。ラット やマウスに高用量で投与した場合にガンを誘発する物質を、ヒトが微量食べた場合に発ガン性があるとみなすのは科学的根拠がない。
もし予防的アプローチを採用して齧歯類に発ガン性のある全ての化学物質をヒト発ガン性があるとみなすと、我々の食べられるものはほとんどない(我が国の肥満問題の過激な解決法ではある)。
真実は、天然であろうと合成であろうと食品や環境中に極微量存在する物質のヒトへのハザードは知られていないということである。

(同様の記事は以前も紹介したけど)



EurekAlert (http://www.eurekalert.org)より