食品安全情報blog過去記事

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ビスフェノールAのFAQ

FAQ on Bisphenol A
29 January 2007
http://www.efsa.europa.eu/en/press_room/questions_and_answers/faq_on_bisphenol_a.html
ビスフェノールA(BPA)とは何か?
BPAは主にプラスチックや樹脂を作る際にほかの化学物質と組み合わせて使用される化学物質である。BPAはこれら物質の製造に長年使用されてきた。BPAは化学名では2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル) プロパンと言う

BPAはどのように食品に入るのか?

BPAは透明な堅いプラスチックの一種であるポリカーボネートに使用されている。ポリカーボネートはリターナブル飲料瓶や哺乳瓶、食器(皿やカップ)、保存容器などの食品容器を作るのに使用されている。
また食品や飲料の缶や樽などの内側の保護コーティングをするのに使用されるエポキシ樹脂にもBPAは存在する。
ポリカーボネートプラスチック類やエポキシ樹脂被膜から食品や飲料に微量のBPAが溶出し得る。さらにプラスチックや樹脂が傷ついていたり壊れたりしても食品に溶出し得る。

BPAEUでは食品と接触する物質に使用することが許可されているか?
BPAEUでは食品と接触する物質に使用することが許可されている。さらに米国や日本など他の国でも使用が許可されている。

BPAにはなぜ懸念があったのか?
BPAは、体内でホルモン系と相互作用する可能性のある多数の化学物質物質(いわゆる「内分泌攪乱物質」)の一つである。1930年代からBPAが女性ホルモンであるエストロゲンの作用に類似する作用があることは知られていた。繁殖や生殖や内分泌(ホルモン)系への影響について、特に齧歯類でのBPAの低用量影響の報告に関して、科学的議論の対象となっていた。

なぜEFSAはBPAについて新しくレビューを行ったのか?
ECの食品に関する科学委員会が2002年に最後の評価を行ってから、BPAについて200あまりの科学論文が発表された。従ってこれらの新しいデータを含めたレビューが必要であった。レビューはEFSAの食品添加物・香料・加工助剤・食品と接触する物質に関する科学委員会(AFC)が行った。

BPAの安全性が最後に評価されてから何が変わったか?
過去には得られなかったマウスにおける2世代試験などのデータを含むさらなる研究データが得られた。AFCパネルはヒトと齧歯類の違いや2002年時点より不確実性を減らすよりしっかりした科学的根拠などをもとに2002年の意見を再評価した。

AFCパネルはどう結論したか?
AFCパネルはデータの詳細な評価の結果、今や暫定一日耐容摂取量(TDI)ではなく完全TDIを設定する方が適切であると結論した。乳幼児を含む人々の食事からのBPAの暴露量はTDIを十分に下回る。

乳幼児に特に懸念はあるか?
今回の評価に際してAFCパネルは、体重あたりのBPA暴露量が最も高くなる可能性のある乳幼児に特に注意を払った。AFCパネルの摂取量推定は保守的なもの(最悪ケース)である。乳幼児の推定摂取量はTDIを十分に下回る。
どれだけ食べても有害影響はないか?
3ヶ月の哺乳瓶を使っている体重6kgの赤ちゃんがTDIに到達する量のBPAを摂取するには、一日に飲む量の4倍のミルクを飲む必要がある。


一般的情報
一日耐容摂取量TDIとは何か?
TDIは一生涯検出可能なリスクなしに毎日摂取できる体重あたりの化学物質の推定量である。

なぜ暫定TDIが完全TDIになったのか?
暫定TDIは、未解決の不確実性があり近い将来にデータが入手可能であろう場合に設定される。
BPAの場合は、SCFが2002年に通常使用される不確実係数100に、さらに追加の不確実係数を加えた500の不確実係数を用いて暫定TDIを設定した。これは当時は生殖と発生のデータに完全なものがなかったからである。新たにマウスでの2世代試験結果が2006年10月に入手可能となり、それにさらにこれまで4年間に発表された研究と併せて、不足していた情報が得られたため、AFCパネルは通常の不確実係数100を用いて完全TDI 0.05 mg/kg 体重を設定できたのである。