食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

動物飼料中の望ましくない物質としての青酸化合物に関するCONTAMパネルによる意見

Opinion of the Scientific Panel CONTAM related to cyanogenic compounds as undesirable substances in animal feed
13 February 2007
http://www.efsa.europa.eu/en/science/contam/contam_opinions/ej434_cyanogenice_compounds.html
各種植物が生産する青酸配糖体の酵素による加水分解によりシアン化水素が生じる。無傷の植物においてはこれら青酸化合物は加水分解酵素とは別に貯蔵されており、機械的に又は動物が噛むことで植物が破壊されると青酸化合物の加水分解が始まり、シアン化水素が生じる。また消化管で微生物により加水分解されてシアン化水素が生じることもある。
青酸配糖体は植物界に広く分布している。青酸配糖体を含む典型的な飼料としては亜麻仁、キャッサバ根、ソルガム種の緑の部分などがある。
pHに依存してシアン化水素(HCN)はシアン化物イオン(CN-)として存在することがある。いずれも全ての動物に対して有害である。HCN暴露により、急性の致死的中毒がおこる可能性がある。さらに成長抑制と中枢神経系傷害による神経症状を特徴とする慢性中毒もよく見られる。前胃の細菌叢が青酸配糖体を加水分解するため、反芻動物が他の胃が一つの動物やヒトより感受性が高いと考えられる。このため青酸配糖体中毒症例は反芻動物に多い。
肉や卵などの可食部にシアン化物やその前駆体が移行するかどうかについての系統的研究はない。致死的中毒になったヤギの肝臓に残留シアン化物が検出されている。しかしながら動物に中毒症状がない場合、シアン化物の代謝や分解経路を考えるとヒト食用の肉や卵に存在する濃度は低いだろうと考えられる。
シアン化物中毒の動物由来のミルクにシアン化物が検出されたという報告もあるが同様にヒト食用乳中の濃度は低いと考えられる。
飼料製造の際のGAPやGMPにより動物の中毒は予防できるであろう。飼料中の青酸配糖体の量や毒性についてのデータがさらに必要である。また総シアン化物発生能を測定する新しい分析方法も必要である。