食品安全情報blog過去記事

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アクリルアミドに関する未熟な科学

Half-Baked Science on Acrylamide
Elizabeth M.
Whelan, Sc.D., M.P.H.
April 25, 2007
http://www.acsh.org/factsfears/newsID.953/news_detail.asp
カリフォルニアでケンタッキーフライドチキンに行くと新しいことに気がつくであろう。フライドポテトやベイクドポテト、ポテトチップに「カリフォルニア州がガンを誘発することを知っている化学物質であるアクリルアミドが含まれる」と表示されている。
KFCなどのファストフード店がカリフォルニアの検事当局に、同州のProp 65規制により消費者に「発ガン物質」の警告をしていないと訴えられていた。そこでKFCは表示をすることで手を打ったのである。KFCの相談役はこの件について「win-win(お互いにプラスになった)」と嬉しそうである。
誰にとっての「win-win」か?カリフォルニア検事当局と自称「環境団体」の非科学集団にとって。しかし健全な科学の発達と消費者にとってはそうではない。
アクリルアミドはデンプンの多い食品を高温で調理すると自然にできる。アクリルアミドは大量に投与すると実験動物でガンを誘発し、カリフォルニアのProp65では「発ガン物質」とされた物質は禁止されるか表示されなければならない。カリフォルニアには他にもたくさん常軌を逸した発ガン表示がある(ガソリンスタンドやオフィスビルの外壁などに)が、ジャガイモ製品に「発ガン物質」と表示するのはとりわけ馬鹿げている。なぜなら食品には無数の発ガン物質が含まれる上、調理済みジャガイモ製品は多数のアクリルアミドを含む食品のうちの一つにすぎない。パン、シリアル、ビスケット、クッキー、プレッツェル、コーヒー、ブラックオリーブにもアクリルアミドは含まれる。さらにヒトのガンに食品中アクリルアミドが関与しているという証拠はない。
何故カリフォルニアはファストフード店で提供されるポテトだけを訴訟の標的にしたのか?確かにフレンチフライは最も「政治的に正しくない」食品であり、標的にされやすい。しかしベークドポテトもそうだろうか?もし次の脅威が問題になって全ての食品に警告表示がなされるようになったらKFC(やマクドナルドやフリトレー)にいる人々はどうすればいいのか?