食品安全情報blog過去記事

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貝の採取と安全

Collecting shellfish and keeping it safe
12 July 2007
http://www.nzfsa.govt.nz/consumers/food-safety-topics/foodborne-illnesses/collecting-shellfish/fact-sheet-safe-shellfish8.htm
ニュージーランド人は潮干狩りが好きであるが、不幸なことに貝類はリスクの高い食品である。貝には汚染物質や病原性微生物やバイオトキシンが含まれるのに、しばしば生や簡単な調理で食べられている。
ここに安全のためのファクトシートを示す。

貝を食べるとどうして病気になるのか?
貝を食べて病気になるリスクは食べた貝の種類や含まれる汚染物質やあなた自身の免疫状態などの多数の因子による。小さい子どもや高齢者、妊婦や胎児、 慢性疾患患者などの免疫力の低下している人に悪影響が大きいだろう。汚染貝類による病気は重症になることがあるので、あなたや家族が貝を食べて具合が悪くなったら直ちに医師の診察を受けるべきである。

貝の種類:カキやホタテやイガイなどの二枚貝は海水を濾過して餌を食べる生き物なので他のシーフードよりリスクが高い。二枚貝は海水を漉して餌を食べるのでバイオトキシンや微生物や汚染物質なども一緒に取り込む。草食性のヘソトリアワビやpupuなどの貝はリスクが低い。また伊勢エビやカニや魚など腸を取り除いてから食べるようなシーフードもリスクは低い。
汚染の種類:二枚貝が蓄積するのは
植物プランクトン由来バイオトキシン類
ヒトや家畜の下水による汚染由来の病原体
重金属や燃料・塗料・溶媒などの汚染物質


バイオトキシン:貝毒による中毒は植物プランクトンが作るバイオトキシンによる。貝が有害かどうかは見た目ではわからない。ニュージーランドの貝には三種類のバイオトキシンが見つかっている。もし貝を食べて以下のような症状が一つでも出たら、直ちに病院に行くこと。
・ 麻痺性貝毒中毒(PSP) サキシトキシン類やgonyautoxin類により誘発される。症状は食べて12時間以内で、口や顔や四肢のしびれやちくちくする感じ、やがて飲み込んだり呼吸するのが困難、頭痛、めまい、ものが二重に見えるなど。海外では死亡例がある。
・ 記憶喪失性貝毒中毒(ASP) ドーモイ酸による。低濃度では主に消化器系(嘔吐や下痢など)症状であるが、1/4で重大で永続する記憶喪失などの神経症状が出る。消化器症状が出るのは24時間以内で神経症状は48時間以内である。
・ 下痢性貝毒中毒(DSP) オカダ酸や関連化合物による。症状は下痢、 吐き気、嘔吐、腹痛である。急性症状は12時間以内に発症し通常持続期間は短い。


病原体:貝はノロウイルスA型肝炎・Shigella・Vibrio ・Salmonellaなどの病原体を含む下水で汚染されていることがある。これらにより数時間から数日で赤痢腸炎などの病気になる可能性がある。A型肝炎の症状は一ヶ月以上経って出ることがあり、熱・倦怠感・食欲不振・嘔吐・吐き気・黄疸などがある。 これらの病気から合併症を起こすと血液や肝臓や免疫系に長期にわたる疾患をもたらすことがある。


化学物質:ニュージーランドの貝に危険な量の重金属が含まれることは滅多にないが、造船台や港、下水廃棄場所近傍では汚染の可能性もある。


貝を採る場所がきれいかどうかはどうやってわかるか?
よく採取される場所では定期的にバイオトキシン検査を行っている。バイオトキシン汚染がある場合には地方の委員会が警告表示を行い地元の新聞やテレビやラジオなどで警告を出す。NZFSAのサイトも参照するように。
汚染物質によるリスクを減らすにはいくつかの方法がある
・ 排水溝やパイプがたくさん流れ出している地域では貝を採取しない
・ 家の近くや下水や嵐の排水が廃棄される場所では貝を採取しない
・ たくさん雨が降った後では、数日経って水がきれいになるまで川のそばや河口で貝を採取しない。嵐は下水をオーバーフローさせたり農場からの排水を下流に運んだりする。
・ 近くで家畜が放牧されている場所では貝を採取しない
・ 工業汚染の兆候がある場所では貝を採取しない
・ 船が下水を廃棄したりディーゼルや防汚剤汚染があったりするので波止場や港の近くでは貝を採取しない


安全な貯蔵法は?
貝類を注意深く貯蔵することは病原体による病気のリスクを削減する
クリーン
・ 貝は生きたまま冷たくする
・ 採ってから2日以内に使う
・ 貯蔵中に死んだ貝は食べない
・ 殻が壊れている貝は食べない
・ 丁寧に調理し、交差汚染を防ぐ
調理
・ 貝類は生で食べたり軽く蒸したりして食べられるがこれは病原体・バイオトキシン・化学物質除去には効果がない。従ってきれいな汚染のない海水の地域から採る
チャウダーのような料理は残ったら確実に再加熱する。最低でも80℃3分。
カバー
・ 採っている時は貝は日陰で濡れた状態で低温に保つ
・ 冷蔵庫内ではきれいな濡れタオルで蓋をする(空気を遮断する袋や容器は使わない)
冷やす
・ 採取した貝はできるだけ早く冷蔵するか氷を使って運ぶ。冷凍して殺してはいけない
・ 冷蔵庫内では下の段に、調理した食品より下に保管
・ 冷蔵庫の温度は2-4℃であることを確認
・ 冷凍する場合には殻を取って少量ずつ水を含んだまま凍らせる
・ 冷凍貝を解凍するには冷蔵庫で24時間