食品安全情報blog過去記事

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飼料添加物として認可されているナラシンの非標的飼料への交差汚染に関するCONTAMパネルの意見

Scientific Opinion of the Panel on Contaminants in the Food Chain on Cross-contamination of non-target feedingstuffs by narasin authorised for use as a feed additive [1]
12/10/2007
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1178652743376.htm
ナラシンはコクシジウム抑制剤としてニワトリ肥育用に最大飼料中含量70mg/kg、休薬期間1日で認可されている。配合飼料を作成する際に、製造工程に一部の飼料が残存してそれが次のロットの飼料に混入することがある。この交差汚染により、非標的動物がナラシンに暴露される可能性があり、その動物の健康への影響とその動物由来食品への残留について検討した。非標的動物においては食欲不振や呼吸困難、肺浮腫、肝細胞壊死、筋繊維傷害などが中毒症状として報告されている。これらの症状はポリエーテルイオノフォア(細胞膜にイオン透過性の穴を開けることにより作用を示す抗生物質類)の作用機序に合致している。特に感受性が高いのはイヌやウマやウシで、シチメンチョウやウサギも多分高いであろう。シチメンチョウではニワトリに認められている最大量より低い飼料中濃度で毒性が出る。これは感受性の種差とナラシン.有効用量と毒性用量との間の安全域が狭いことによる。従ってCONTAMパネルは感受性の高い非標的動物においてはニワトリ用飼料に認可された最大濃度以下で有害事象が起こる可能性はあると結論した。一方最大許容値の飼料が10%交差汚染した
飼料による毒性影響や薬理作用はないであろう。これは最も感受性の高い実験動物であるイヌでのNOAEL 0.5 mg/kg体重をもとに推定できる。10%交差汚染のある飼料からの暴露量は0.35 mg/kg体重/日である。
ナラシンは動物の可食部には蓄積しない。産卵鶏に与えた場合は卵に検出される。最悪シナリオによるヒト暴露量はADI以下であり、従ってCONTAMパネルは最大10%までの交差汚染飼料を与えられた動物組織による消費者の健康リスクは無視できると結論した。