食品安全情報blog過去記事

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何故科学者は科学が歪められている時に声をあげないのか?

Why Don't Scientists Speak Up When Science Is Distorted? (from HuffingtonPost.com)
Elizabeth M. Whelan, Sc.D., M.P.H.
October 24, 2007
http://www.acsh.org/healthissues/newsID.1628/healthissue_detail.asp
この文章は10月24日にHuffingtonPost.comに掲載された・・けんか腰の読者からの声とともに。


何年もの間、私の友人や同僚は「何故科学者はメディアが健康に関する恐怖についてインチキを報道しているのについて声をあげないのか?」「何故科学者は自称環境活動家がガンが増えているとか、口紅やあひるのおもちゃやプラスチックボトルに含まれる化学物質がガンや生殖異常の原因だとかの嘘を主張しているのに黙って座っているのか?」と私に尋ねてきている。私は答えを知っていると思う。嘘が広がるのを黙ってみている方が、立ち上がって誇大宣伝に立ち向かうより簡単で安全だからだ。
最近の個人的な例を挙げよう。
8月にCNNのレポーターJordana Millerが、バイオモニタリングに関して私に取材を申し込んできた。彼女は人々が血中「化学物質」の濃度を測定したがる傾向について私のオフィスにカメラを持ち込んで1時間の取材をし、CNNで放送されるかもしれないと言った。CNNでの放送はなかったので問い合わせたところ、 番組は延期されたが、しかし私のインタビューは採用されないとMiller氏は答えた。その番組は血中に「化学物質」が検出されればどんなに微量でも死亡を含む病気の原因となり得るという前提で作成されており、私の見解はその前提と相容れないので除外されるとのことだった。そしてCNNは「子どもの体に高濃度の化学物質が!」という放送を行った。
Miller氏は化学物質が子どもを病気にしているという Leo Trasande博士の見解を紹介した後、私に言及した。「Elizabeth Whelanは化学物質が子ども達の病気を増やしているという見解に同意しない。Whelanは血中にごく微量の化学物質が検出されたからといって必ずしも健康リスクがあることを意味しない、と主張している。」
その直後から私はたくさんの「恥知らず」とか「よく眠れるものだ」という私が子ども達の病気や死亡の原因であると主張するメールと電話を受け取るようになった。しばしば私のことを科学者ではないとか化学業界の道具とかみなしていた。なかにはACSHにCCの上私がそのような主張をしたのだからACSHを解雇しろと要求するものもあった。こうした逆上したCNNの読者/視聴者はACSHが「公衆衛生支援団体」であると知って半狂乱であった。
私の言ったことは攻撃されるべきことだろうか?こうした攻撃で彼らが正しくて私が間違っていると言えるだろうか?彼らの主張に同意しないものはうそつきであるという彼らの独善的な信仰を明示しているだけである。
この例は科学者が科学の歪曲を正す意欲を削ぐ多くの例の一つに過ぎない。
単に常識を述べただけで個人攻撃される科学者はどうすればいい?研究室や教室から退却して、あらゆるものに発ガン物質や毒物が含まれて我々の健康を害していると主張する「トキシックテロリスト」に明け渡す方が簡単である。個人攻撃の脅威は科学コミュニティーを沈黙させ、対話を抑止し、そして悪いニュースだけが報道される。
(コメントは25日の朝で44件。必ずしも罵倒だけではないが、「化学物質なんていらない」というタイプのコメントも多数。)