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修飾毒素が、作物が耐性昆虫を殺すのを助ける

Natureニュースより
Modified toxin helps crops kill resistant insects
1 November 2007
Heidi Ledford
http://www.nature.com/news/2007/071101/full/news.2007.211.html
Bt毒素の新しい型が害虫をより長く撃退するかもしれない
よく使われている殺虫剤の修飾型が、農家に新しい対耐性害虫用兵器となるかもしれない。
この新しい物質は天然にBacillus thuringiensisが産生するBt毒素の修飾型である。Bt毒素は害虫駆除のために長い間散布で使ってきたしこの毒素を産生するよう組換えられた綿やトウモロコシも栽培されている。2006年にはBt作物は世界中で3000万ヘクタール以上が栽培されている。
広く使われているBt毒素に耐性のある昆虫が出てくることは避けられない。まだBt作物の畑でBt耐性害虫が同定されてはいないが、研究者は耐性害虫の出現をモニターし代わりの兵器を探し続けている。
メキシコのMario Sober nらはBt毒素の特定領域を欠失させることで、害虫を殺すために細胞の受容体に結合する必要が無くなることを見いだした。Bt毒素は昆虫の腸にのみ存在する受容体に結合して細胞膜に穴を開けるが、Bt耐性昆虫は受容体のBt結合能力を減らすことで耐性を獲得する。彼らは修飾型Bt毒素を二種類作ってBt耐性ボールワームで殺虫効果を確認した。
この方法が新世代のデザイナーBt毒素を作り出すのに役立つかもしれない。
選択肢が多ければ多いほど作物のローテーションなどで耐性と闘う手段が増える。
Sober n M. et al. Science doi:10.1126/science.1146453 (2007).