食品安全情報blog過去記事

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感じられているリスクにも対応が必要

12.11.2007
http://www.bfr.bund.de/cd/10261
BfRの5周年を契機に行われたリスク評価と管理に関する議論
科学的見地からは食品や製品の健康リスクが小さい場合でも、一般の人々がリスクが大きいと感じているならば対応が必要なこともある。これが「感じられているリスクに国家が対応することは正当化できるか?」という質問への回答である。政治は純粋に科学的見地からだけではなく、経済的理由や信頼喪失などの問題も考慮しなければならない。健康リスクがあると感じられているものが必ずしも実際のリスクになるわけではないが、リスクの科学的評価とは別に、リスクを取り扱うにはオープンでわかりやすいリスクコミュニケーションが重要である。従って独立した科学的リスク評価同様、その結果を伝える独立したリスクコミュニケーションが必要である。
科学的にはリスクが小さい又はないにもかかわらず人々がリスクがあると感じているものは例えば残留農薬で、逆にリスクがあるにもかかわらず安全だと感じているものが天然物である。このような科学的に根拠のないリスクでも人々の行動に影響を与えるため、政治的には無視できない。
恐慌を避けるために、感じられているリスクについても国による対応が必要である。科学者の立場と、異なる関係者の立場を含むオープンでわかりやすいリスクコミュニケーションが重要である。リスク評価の基本である科学的事実とは別に、知識のギャップと科学的データの解釈における不確実性についても明らかにすることが重要である。過去にBSEの問題を取り扱った際、健康保護機関への信頼喪失があった。BfRは過去の過ちを繰り返したくない。BfRのリスクコ ミュニケーション部門は、科学的知識と社会学的ノウハウを組み合わせて、科学と政治と多様な社会集団とのオープンで信頼できる対話を行いたい。