食品安全情報blog過去記事

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オーガニックミルクの栄養価

Behind the headlines
Nutritional content of organic milk
Wednesday May 28 2008
http://www.nhs.uk/news/2008/05May/Pages/Nutritionalcontentoforganicmilk.aspx
本日Daily Expressは「オーガニックミルクは栄養価が高くがんリスクが少ない」と報道した。多くの新聞がオーガニックミルクが通常のミルクよりビタミンや抗酸化物質や「健康的な」脂肪が多いと報道した。「がんを予防すると考えられているリノール酸濃度は夏のオーガニックミルクが60%多かった」とExpressは付け加えている。これはウシが新鮮な牧草やクローバーを食べているからだと報道されている。
この報道は25の農場産のミルクを分析した研究に基づき、種類が違うミルクの栄養価はそれぞれ異なるがその原因はオーガニックかどうかだけではなく様々な要因による。さらにこの研究は各種のミルクのヒト健康への影響を調べたものではない。
論文はJournal of the Science of Food and Agricultureに掲載されたものである。英国の25の農場から109検体のミルクを採取し脂肪酸組成や抗酸化物質などの化学分析を行っている。農場の生産方法についてもアンケートを行った。 生産法については低インプットオーガニック、低インプット非オーガニック、 高インプット非オーガニック(穀物やサイレージ飼料などを与える)の三種類に分類できた。脂肪酸組成から研究者らはミルクの組成が餌の組成や放牧期間などで変わると結論している。
NHSはミルクの組成はオーガニックかどうかだけではなく飼育方法やミルクを年中作るか春だけ生産するかなど多くの要因によって変わることは驚くべきことではないとしている。さらにこの研究はオーガニックミルクの方が栄養価が高いことを示すものではなく、同じ農場のミルクでも検体採取時期により組成は異なる。現時点でオーガニックミルクを飲むかどうかの決定は個人のライフスタイルの選択にのみよるべきである。
(イギリスはオーガニック礼賛記事がやたら多い。どうでもいいような違いをことさら強調してオーガニックがいいと主張したがる。)