食品安全情報blog過去記事

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ISPsの安全性

Safety of ice structuring proteins
08/08/2008
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902041489.htm
EFSAのNDAGMOパネルは氷核蛋白質(ISPs)の食品への使用について共同意見を発表した。ISPsは天然に魚や植物など各種生物が厳寒の環境に対応するため氷の結晶化温度を下げるために合成する。
アイスクリームにISPsを加えることで脂肪含量が少なくとも滑らかな舌触りの製品を作る技術が開発された。この技術には、ビタミンや酵素を作る場合と同様の、遺伝子組換え酵母を用いて蛋白質を単離する技術が含まれる。精製された蛋白質は遺伝子改変された酵母細胞や組換えDNAは含まない。
食品製造業者がISPsを新規食品成分として申請し欧州委員会がEFSAの安全性評価を依頼した。
EFSAのNDAGMOパネルは提案された使用方法ではアイスクリーム中のISPs含量は0.01%以下で安全であると結論した。各種試験で遺伝毒性は見られない。検査結果の範囲では魚アレルギーのある人に対するアレルギー誘発リスクはありそうにない。
氷核蛋白質は既に普通の食事の一部として食べられている。米国やオーストラリアやニュージーランドでは既に認可されていて、食品中のISPsによる有害影響の報告はない。アイスクリームに使用された場合、現状のEUの摂取量に大きな変化はない。


氷核蛋白質(ISP)の安全性に関するNDAパネルとGMOパネルの意見
Safety of ‘Ice Structuring Protein (ISP) - Scientific Opinion of the Panel on Dietetic Products, Nutrition and Allergies and of the Panel on Genetically Modified Organisms
08/08/2008
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902041128.htm
ISPタイプIIIは北米の冷たい海に住む魚Macrozoarces americanusから単離された蛋白質で、12のイソ型がある。そのうち66のアミノ酸からなるISPタイプIII HPLC 12が商用に開発された。
英国における最も多くアイスクリームを食べる集団(11-14才の男児)での推定摂取量は97.5パーセンタイルで0.21 mg ISPタイプ III HPLC 12/kg体重である。一方最も多くISPを摂取しているのは1.5-4.5才の女児で97.5パーセンタイルで0.53 mg/kg体重である。冷たい海に住む魚に含まれるISPの濃度と平均的魚摂取量から、米国では魚ISPの摂取量は1-10 mg/日、アイスランドでは50-500mg/日と推定される。従ってアイスクリームから摂るISPの量は通常のISP暴露量の範囲内である。
またラットにおける強制経口投与による亜慢性毒性試験では最大用量580mg/kg/日で有害影響はない。遺伝毒性はない。ISPタイプ III HPLC 12は魚の主要アレルゲンではない。
米国では2003-2007年にかけてISPを含むアイスクリームが4億7000万以上販売され、オーストラリアとニュージーランドでは47000LのISP含有アイスクリームが販売された。安全上の問題が報告されたことはない。