食品安全情報blog過去記事

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アイルランド産豚肉のダイオキシン様PCB

07.12.2008
http://www.bfr.bund.de/cd/27289
ヨーロッパの消費者の健康被害を避けるためアイルランド当局がリコールを行っている
ヨーロッパの高速警報システムの最新データによれば、アイルランド産豚肉から最大292 microg/kgのPCBが検出された。検体は明確に規制値超過であるため、問題の製品はアイルランド政府が回収した。この事故についてはRASFFによりドイツに通知された。ドイツでは問題の製品がどれだけ市販されたか調査中である。
ドイツでは1989年以降PCBは禁止されている。環境由来のPCBはいまだに食品から検出される。PCBは動物やヒトの脂肪組織に蓄積する。PCB類は約200の物質の総称で、有害影響が強いものはダイオキシンと類似の構造をもち、ダイオキシン様PCBと呼ばれる。ダイオキシンとは類似性の高くないその他のPCBは非ダイオキシン様PCBと呼ばれる。
消費者はミルクや肉や魚などの脂肪を含む動物性食品からこれらの物質に暴露される。今回の事例ではPCBは動物に与えられた飼料に由来すると考えられている。
アイルランド産の豚肉から検出されたPCBは環境由来のバックグランド値より明らかに高く、WHOの設定したTDIを超える可能性がある。現時点のデータからは短期暴露によるドイツの消費者への健康被害はないと考えられる。しかしながらPCB含有豚肉を長期間大量に食べた場合の健康被害については否定できない。
従ってこれらは食品としてはふさわしくなく、フードチェーンから排除されるべきである。BfRは現時点のデータから評価したが、今後アイルランド当局と情報交換しながら適切なデータに基づいて包括的リスク評価を行う予定である。