食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

ビタミンEやセレンサプリメントは前立腺がんリスクを削減しない

Supplementation with vitamin E or selenium does not reduce risk of prostate cancer
9-Dec-2008
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2008-12/jaaj-swv120408.php
同上でJAMAにオンライン発表。
米国とカナダとプエルトリコの55才以上の男性35,533人を対象にしたセレンとビタミンEによるがん予防試験 (SELECT)。セレン(200 μg/day);ビタミンE(400 IU/day);セレンプラスビタミンE;プラセボの群からなり、2008年9月15日に独立したモニタリング委員会が何のメリットもないことから試験の中止を勧告した。平均フォローアップ期間は5.46年。前立腺がんの事例に統計的有意差はなかった。
この試験はセレンとビタミンEが前立腺がんを予防しないことを示しただけではなく、臨床試験の結果がない場合には病気予防のために何らかの物質の使用を薦めるには熟慮が必要であることを強調する。
JAMA. 2009;301[1]:doi:10.1001/jama.2008.864.
オープンアクセス
Effect of Selenium and Vitamin E on Risk of Prostate Cancer and Other Cancers
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/2008.864


エディトリアル:がん予防のための抗酸化サプリメントの無作為化試験−最初にバイアス、今や偶然、次は原因
2つの大規模試験の残念な結果にPeter H. Gannがコメントしている。
単一成分による介入は、組み合わせであっても、平均的リスク集団への一次予防としては効果がないのだろう。食事による前立腺がんへの予防効果が何らかの成分で代用できるという考えを捨てる時期なのかもしれない。一方で食事による前立腺がん予防戦略はより複雑で困難であろう。食事全体が必要なら、どの分子が重要かを知る必要はないのかもしれない。
疫学による相関には3つの可能性がある−バイアスと偶然と原因である。前立腺がんの栄養による予防については第一世代の試験は先の研究結果からのバイアスが強すぎ、第二世代は偶然に依拠しすぎたが、次の世代では因果関係への根拠が示せるかもしれない。それまで、抗酸化サプリメントを予防目的で薦めるべきではない。
JAMA. 2009;301[1]:doi:10.1001/jama.2008.863.
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/2008.863