食品安全情報blog過去記事

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長官のコラム:意見募集によりより良い規則ができる

CE’s column: Consultation produces better rules
December 2008
http://www.nzfsa.govt.nz/publications/ce-column/ce-column-3.htm
天気予報によれば長く熱く乾燥した夏が予想されている。これは海辺で休暇を過ごすには良いニュースであるが、残念ながら有毒ハチミツができるのにも理想的な条件である。
昨年のイースターにCoromandel 地方のツチンハチミツ中毒により22人が重病になった。気候条件によりミツバチはtutuの茂みにいる昆虫の分泌するツチンを含む浸出液を集める。ツチンはヒトへの毒性が極めて高く、ティースプーン1杯(約10 mL)で神経系に悪影響を及ぼし、死ぬこともある。ニュージーランドでは1889年以降ハチミツのツチンにより多くの人々が死亡している。
それだけ毒性が高いのに何故これまで規制が強化されなかったのか?全く規制されていなかったわけではない。食品法の下、販売されている全ての食品は食べても安全でなければならない。動物由来製品法では養蜂家には、tutuの状況を監視したりしてツチンリスクを管理することを要求している。
養蜂家組織による管理は国内向けには任意のもので、輸出製品についてのみ義務化されていた。今年3月の22件の事故が報告されるまで、1991年の1人入院が最新の事例だった。その前は1984年に1件あっただけでその前にはさらに数件あった。死亡例は全て1918年以前のものである。
Tutuが生えるのはニュージーランドだけなので他の地域ではツチン中毒はなく、ツチンに関する科学的知識も少ない。2008年の事件以降NZFSAはハチミツのツチンの最大許容濃度設定の基礎となる科学的データを集めた。そしてハチミツについて2 mg/kg、巣付きハチミツについて0.1 mg/kgに最大許容量を設定した。巣付きハチミツは抽出ハチミツよりリスクが高い。
私はハチミツのツチンについてコラムで取り上げようと思ったのはタイムリーだからであるが同時にNZFSAが定期的に行っている協議の利点について示す良い例だからである。
協議により常に合意が得られるわけではない。一部の問題は矛盾をはらみ一部の立場は科学と関係なく固執している。
ハチミツのツチンの場合、NZFSAの科学者や規制担当者は養蜂家の事業の実態を必ずしも理解していなかった。我々は毎日働いている人たちと相談してのみどれが最も良い選択肢かを理解することができる。我々は真の相互理解により効果的な結果を得ることを望んでいる。ハチミツのツチン基準については養蜂家や一般からの意見によりより良くなったと考えている。
今回の基準は養蜂家や輸出業者などに彼らのハチミツが安全であることを確保するための多数の選択肢を提供している。検査は汚染リスク管理の一方法に過ぎないこと、違う地方の養蜂家には異なるレベルの管理すべきリスクがあることなどを理解したうえで作られた。この規則は養蜂家の実態に合わせて対策を執るための柔軟性がある。この基準は2009年1月25日に発効する。