食品安全情報blog過去記事

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ミネラルウォーター中のウランについてのQ & A

28 Jan 2009
http://www.bfr.bund.de/cd/27956
最近メディアで取り上げられて、ミネラルウォーターのウランについての問い合わせが多くなったため、ここにFAQを示す。
・ 何故ミネラルウォーターにウランが入っているのか?
ウランは岩石や土壌や空気や水に様々な量含まれる。ウランは天然に良くある物質なので食品にもごく微量含まれる。水のウラン含量は場所により異なる。
・健康リスクはあるか?
ウランは放射性重金属であるが食品にはごく微量しか含まれない。ウランの放射能によるリスクはほとんど無く無視できるが、長期にわたり高濃度で摂ると化学物質としての腎毒性の可能性がある。
・飲料水やミネラルウォーターのウランに規制値はあるか?
ヨーロッパ及びドイツに飲料水中ウランの法的基準値はない。ただし例外は乳児用食品調整用ミネラルウォーターで、2 microg/L以上含まれてはいけない。
BfRは2006年に乳児用ミネラルウォーターのウランについて評価しこの最大規制値を設定することを薦めた。WHOは飲料水中ウラン基準値として15 microg/Lを定めている。ドイツではUBAが10 microg/Lを推奨している。
・何故BfRは2005年から乳児用ミネラルウォーターのウラン最大値を改定したのか?
乳児用食品調理用の水には特別な安全基準がある。BfRは2006年1月16日から2 microg/Lを最大基準値として推奨し、2005年の推奨値を改定した。2005年時点では放射能による発がん性を考慮して予防的に0.2 microg/L(検出限界)を推奨していた。その後ミネラルウェーターのウランの放射能による健康リスクは 考えられないことが明確になり、化学物質としての健康リスクを根拠に規制値を改定した。
BfRはどのようにして乳児用食品を作るための水のウラン規制値を導出したのか?
WHOが導出したウランのTDIを根拠にした。ウランは約0.6 microg/kg体重/日がTDIである。3ヶ月の乳児は体重が約6.5kgで、飲む量は1日670gとするとWHOの10 microg/LでTDIは超過しない。「乳児用」と特に表示して販売されるミネラルウォーターについては通常より厳しい基準がふさわしいと考えて2 microg/kgに設定した。硝酸やフッ素や硫酸などについても同様に乳児用については基準を厳しくしている。
・ 何故乳児用食品を作るためのミネラルウォーターより飲料水のウラン規制値が高いのか?
飲料水は一般向けで特別なものではないので。
・ 飲料水は乳児用食品調理に使えるのか?
連邦環境保護局(UBA)とBfRの評価では10 microg/L以下のウランを含む飲料水に健康リスクはなく、そのような水でベビーフードを作っても問題はない。例外はドイツの一部地域でUBA基準値10 microg/L又はWHO基準値15 microg/Lを上回ることがあり、その様な場合は予防的措置として乳児用ミネラルウォーターを使うことを勧める。
・消費者は飲料水のウラン濃度についてどうやって知ることができるのか?
飲料水については地元の水担当部局、ミネラルウォーターについては製造業者に問い合わせる。
BfRは消費者保護のためにどのような対応をしているか?

参照
2005年
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20050701#p10
2006年BfRによる改定
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20060306#p11