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動物飼料中の望ましくない物質としてのMadhuca Longifolia(バターツリー)中サポニン

Saponins in Madhuca Longifolia as undesirable substances in animal feed
23 February 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902343003.htm
サポニンは植物界に広く存在する多様な低分子二次代謝物のグループである。
化学構造としてはステロイドかトリテルペノイド構造を持つアグリコンと1つ又はそれ以上の糖鎖からなる(配糖体)。サポニンは水溶液で安定な泡を作ることができ、ラテン語の石けんを意味するsapoに由来する。伝統的に界面活性剤や殺虫剤や軟体動物駆除剤として使われてきた。
Madhuca Longifoliaやその他のMadhuca科の植物は常緑で良く茂る樹冠を持ち油の多い種子を作るため熱帯地方で多く栽培されている。この意見はMadhuca科のサポニンについてのものである。Fagus silvatica由来「皮付きブナの実」の青酸配糖体についても意見を求められたが、含量は少なく毒性は主にシュウ酸塩によるものなのでここでは検討しない。
食品や飼料中において、サポニンは「アンチ栄養」効果と毒性を持つ可能性があるが、健康によいと主張されることもある。多くのサポニンは脂質膜に作用してin vitroや静脈内注射では溶血作用がある。一般的にサポニンは配糖体としては経口での生物学的利用度は低いが、消化管内で加水分解されてアグリコンの性質により全身毒性を示す。Madhucaから単離された個別サポニンのin vivo毒性試験はない。各種Madhuca由来脱脂種子や粗精製総サポニンの毒性試験や監察報告がある。Madhucaサポニンのマウスでの経口LD50は約1.0 g/kg体重である。マウスとラットではMadhucaサポニンは消化管の局所毒性や肝・腎毒性を示す。低濃度ではMadhucaサポニンは摂食拒否や飢餓を誘発し、体重減少や死亡率の増加が見られる。Madhuca油はラットで精細管の変成を伴う両側性の精巣萎縮を誘発するが、動物飼料中で毒性を示すのは主にサポニンである。変異原性や毒性試験は行われていない。データが限られるためADIやTDIのような値は設定できない。
サポニンを含むMadhuca種子ケーキでの実験から、反芻動物は胃が一つの動物より耐性が高く、総飼料中に最大20%まで耐えられる。ひよこの餌では約12%で致死的である。ウマ、ブタ、ウサギ、イヌでの試験はない。
飼料中の不純植物成分としてMadhucaがどれだけ含まれるのかについてはデータがない。飼料としての価値は限られるためEUには輸入されていない。産地ではMadhucaケーキは主に肥料として使用され飼料としては僅かしか使われていない。Madhuca製品をヒトが食べることはなく動物由来食品からMadhucaサポニンに暴露される可能性はほぼない。
CONTAMパネルはEUにおけるMadhucaサポニンのヒト食事暴露は無視できると結論した。