食品安全情報blog過去記事

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フードチェーンと動物の健康に関する常設委員会の毒性部門の2009年3月6日の会合の結論

Standing Committee on the Food Chain and Animal Health Section Toxicological Safety Conclusions of the meeting of 06 March 2009
http://ec.europa.eu/food/committees/regulatory/scfcah/toxic/conclusions_060309.pdf
食品包装容器に使用された印刷用インク由来の4-メチルベンゾフェノン(4-MBP)とベンゾフェノン(BP)について。
最近RASFFによりシリアルへの4-MBPの移行が示された。2006年に英国FSAが行った調査によれば市販されている製品の相当数に高濃度のBPが含まれる。欧州委員会の要請によりEFSAが4-MBPとBPの評価を行っており、最終的な意見は2009年5月までに発表される。2009年3月4日にEFSAは4-MBPについての声明を発表した。EFSAはベンゾフェノンのグループTDIに4MBPを含めることができるかどうかについては科学的根拠がないとしている。EFSAは追加の安全係数を含む暴露マージンアプローチによりリスク評価を行い、成人については健康上の懸念とはならないと結論している。しかしながら子どもについては極めて保守的シナリオ(シリアル中最高濃度で最大摂取量)では健康上の懸念は、あまりありそうにはないものの、排除できないとしている。
RASFFの通知後、ヨーロッパ印刷用インク協会やヨーロッパカートン用板紙製造業者協会は会員に対して、気相を含む食品への移行を防ぐ機能的バリアがない場合は4-MBPとBPを含むインクは食品包装用材の印刷には適さないと助言している。
委員会は以下の結論を承認した。
(1) 4-MBPとBPを含むインクで印刷された食品と接触する物質は、企業の社内試験で食品への移行が4-MBPとBPの合計で0.6 mg/kg食品以下であることが確認されない限り食品と接触してはならない。例えばアルミニウムやPET/SiOxなどのような効果的な機能的バリアがあればこれは達成できるだろう。
(2) 加盟国に対しては市販食品中の濃度を測定して委員会に結果を伝えることを薦める
(3) 加盟国にはUV硬化印刷技術を用いて印刷された食品と接触する物質を使用している食品包装業者が移行を削減するための適切な措置をとっているかどうかをモニターすることを薦める
(4) 加盟国にはUV硬化印刷を用いている食品と接触する物質の製造業者が指令No 2023/2006に設定されたGMPを採用しているかどうか、移行を提言するための適切な措置を執っていることを説明できるかどうかを監視するよう薦める
(5) 欧州委員会EUレベルで企業に対して製造している食品の安全確保の責任啓発に努める。加盟国は国レベルで同様に対応する。
(6) 欧州委員会と加盟国はEFSAの最終意見を参考に事態を再評価する。

FSAの調査結果
Benzophenone and 4-hydroxybenzophenone migration from food packaging into foodstuffs
http://www.food.gov.uk/science/surveillance/fsisbranch2006/fsis1806
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20061116#p9