食品安全情報blog過去記事

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PETボトル入りミネラルウォーターのホルモン様物質

20.03.2009
http://www.bfr.bund.de/cm/208/hormonell_wirkende_substanzen_in_mineralwasser_aus_pet_flaschen.pdf
最近発表されたフランクフルトのJohann Wolfgang Goethe大学の研究者らによる各種メーカーのミネラルウォーターの調査結果によれば、PETボトル入り水に In vitroでホルモン作用のある物質が含まれる。そこでBfRがこの研究の結果について暫定評価を行った。
この試験系は遺伝子組換え酵母を用いたin vitro系(YES test)で、エストロゲン活性のある物質を極めて高感度で検出する。研究者らはこの試験系で検出されたものをエストロゲン活性があると解釈しているが、いわゆる外来エストロゲン類似物質とされるものは天然のエストロゲンより遙かに活性が低いことに注意すべきである。ノニルフェノールは天然ホルモンである17ベータエストラジオールの約1万分の1の活性である。
この酵母実験系で各種ミネラルウォーターはいろいろ異なる結果を示している。しかしこの結果がプラスチックのPETボトルに由来するという著者の主張は疑わしい。産地の違う水で結果が違うからである。比較するためには産地が同じ水を用いるべきである。
さらにカタツムリモデルも用いている。市販のPETボトルやガラス瓶に培養液を入れて54日後の胚を数えている。この試験系で消費者の健康リスクについて何かを言えるかどうかは疑わしい。
BfRは試験結果の確認が必要であると考える。この結果から消費者がPETボトル入りミネラルウォーターをガラス瓶入りに変更する必要はない。