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ERFの2つ目のアスパルテームのがん原性試験について、2009年2月にRamazzini財団から提出されたデータを考慮した上での、欧州委員会からの依頼による意見更新

Updated opinion on a request from the European Commission related to the 2nd ERF carcinogenicity study on aspartame, taking into consideration study data submitted by the Ramazzini Foundation in February 2009
20 April 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902454309.htm
Ramazzini財団のCesare Maltoniがん研究センター(ERF)が行ってSoffrittiらが2007年6月に発表したアスパルテームの周産期暴露のある長期がん原性試験結果について、EFSAのANSパネルが科学的意見を求められた。著者らはこの研究が2005年と2006年に発表されたADI程度の用量での多部位発がん性という最初の試験結果を確認しただけでなくさらに強化したと結論している。この研究に基づき、著者はアスパルテームの生涯暴露に、さらに胎児期から暴露されることにより発がん性が増加すると主張している。
アスパルテームは1980年代にいくつかのEU加盟国で食品への使用や卓上甘味料としての使用が認可され、1994年に、SCFによる1984年と1988年の全体的安全性評価を経てヨーロッパ全体で使用できるようになった。さらにSCFは1997年と2002年にアスパルテームのデータのレビューを行っている。2006年にはAFCがSoffrittiらが2005年と2006年に発表したERFによる長期がん原性試験の結果を評価した。ERFの試験に関するデータと最近の研究データ及びこれまでの評価の全ての根拠に基づき、AFCパネルはアスパルテームのADI(40 mg/kg体重/日)を変更する理由はないと結論した。
2007年に発表されたラットを用いた2つ目のERFの試験では、400及び2000mgアスパルテーム/kg餌の濃度(20 及び100 mg/kg体重/日)が用いられている。ラットへの投与は妊娠12日目から自然死までの間で、数は対照群が雌雄各95匹で低用量及び高用量群が雌雄各70匹である。著者らは悪性腫瘍のある雄の数が用量に関連して増加している、雄のリンパ腫/白血病頻度が高用量群で有意に増加した、雌のリンパ腫/白血病頻度が高用量群で有意に増加した、雌の乳腺腫瘍頻度が用量の関連して増加したと報告している。
ANSパネルによるERF試験の評価は、報告された知見とヒト健康への関連性について向けられた。この評価を行うに当たって、ANSパネルは主な情報源として発表された論文情報を利用したが、それには情報が限られていた。2007年4月、 2008年1月、2008年6月ににEFSAは実験の解釈のためにさらなる情報提供を求めた。そして2009年2月19日にRamazzini財団が一部のデータをEFSAに提供した。
ANSパネルは以下のように結論した:
・ 悪性腫瘍の頻度を合計して試験対象化合物の発がん性を評価するには、 全ての腫瘍について発生時期や、腫瘍性でない、過形成、および前がん病変に関するデータを検討する必要がある。しかしながら著者らはこれらのデータを提出していない。リンパ腫や白血病のある動物の肺における炎症性病変の有無に関する情報が限定的にしか提供されていない。
・ 観察されたリンパ腫や白血病のほとんどが、慢性呼吸器疾患の特徴である肺の炎症性病変のあるラットで見られている。AFCパネルの先の見解通り、これらはアスパルテームの投与とは関係しないと考えられる。
・ 雌ラットの乳腺腫瘍の頻度ががん原性試験によりかなり違っていてしかも高頻度であることから、乳腺腫瘍頻度の増加はアスパルテームの発がん性の指標とは考えられない。さらにERFがもっと高濃度のアスパルテームを使用して行った先の試験では乳腺腫瘍の頻度増加は報告されていない。
全体として最新のERFの研究を含む全ての現在入手できるデータを基に、アスパルテームに遺伝毒性や発がん性を示唆するものはなく、アスパルテームのADI40 mg/kg体重/日を改定する理由はない。

Opinion on a request from the European Commission related to the 2nd ERF carcinogenicity study on aspartame
20 April 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902454236.htm
上とほぼ同じ。
(この意見が2009年1月末にEFSAで採択されてERFは仕方なく何年も無視してきた追加データを2月に一部だけ提出して意見の公表を遅らせたが、意味がないと見なされた。
ERFがいかにインチキな研究財団であるかを証明しているようなもの。)