食品安全情報blog過去記事

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フマル酸ジメチルのメモ

EU官報
加盟国に殺生物剤(バイオサイド)フマル酸ジメチル(DMF)を含む製品が市場に流通しないようにすることを求める2009年3月17日の欧州委員会の決定
(常連ではない方向けの注意書き:これは内容を知らせるための要約であって翻訳ではありません。参考のために提供しているもので利用の際には原文を確認して下さい。)
20.3.2009
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2009:074:0032:0034:EN:PDF
・市場には安全な製品のみが流通しなければならない。
・フランス、ポーランドフィンランドスウェーデン、英国などいくつかのEU加盟国で流通中の家具や靴から消費者の健康に危害をもたらすものが見つかった。
臨床試験の結果、原因は湿気の高い気候条件下で輸送や保管をする際に革製の家具や靴をダメにするカビを防ぐためのバイオサイドDMFであることがわかった。
・ DMFは家具の内側に固定されていたり靴の箱に入っている小袋に含まれることが最も多い。そこから蒸発して製品に浸透してカビを防ぐ。しかし消費者が接触すると消費者にも影響する。DMFは衣服を通過して皮膚に接触し、痛みやかゆみ、炎症や発赤や熱感を伴う接触性皮膚炎を誘発し、時には急性呼吸器症状も報告されている。皮膚炎は極めて難治性である。従ってDMFが存在することは重大なリスクとなる。
・ 指令2001/95/ECのArticle 13により、もしある種の製品が消費者の健康と安全に重大なリスクとなることに欧州委員会が気がつけば、加盟国にそのような製品の流通を制限したり条件をつけたりするための規制を要求することができる。
・ そのような決定は(a)問題となっているリスクへの対応方法が加盟国間で相当異なっている;(b)安全上の性質から問題の製品に適用できる規制では対応できない;(c)地域レベルで適切な対応を執ることではリスクが排除できない 場合に採用される。
・ 革の家具と純品のDMFを用いたヒトでの臨床試験(パッチテスト)では、1mg/kgでも強い反応が見られた。これを根拠にフランスはDMFを含む椅子と靴の輸入と販売を禁止した。また同時に目に見えるDMFが含まれる椅子や靴のリコールを求めた。この法令は1年限りのものである。ベルギーでは同じ研究に基づきDMFを含む全ての製品の流通を禁止した。スペインは皮膚と接触する全ての消費者製品にDMFを禁止した。
・ ベルギー、スペイン、フランスのみがDMFによる消費者の健康への重大 なリスクに対応した特別な規制を採択した。
・ バイオサイド指令(Directive 98/8/EC)では極めて厳しい認可基準が 定められている。
・ DMFを含むバイオサイド製品はバイオサイドサイド指令では認可されていない。従ってDMFを含むバイオサイド製品は違法である。しかしながら輸入される製品(又は製品原料)中のDMFについては規制値はない。
・ DMFの規制は既存の指令の改定では短期には不可能で、現在必要なリスク管理の緊急性にとって十分ではない。
・ こうした状況から、加盟国は永続的解決法ができるまで、消費者を重大な健康リスクから守るために、DMFを含む製品は流通しないようにすべきである。
・ 製品へのDMFの存在は製品又は製品の一部1kgあたり0.1mg DMFを最大基準に決定されるべきである。この濃度は上述のパッチテストで強い反応が見られた1 mg/kgより十分低い。従って0.1 mg/kgという最大濃度は製品中DMFによる重大なリスクに適切に対応している。
・ 従って採用される分析方法は製品又は製品の一部1kgあたり0.1mg DMFを信頼性高く定量できるべきである。つまり定量法の定量限界は0.1mg/kg以下でなければならない。
・ 加盟国は市場調査を行って安全でない製品によるリスクを予防する対策を執らなければならない。
・ 執行機関である加盟国や製造・販売業者が対応できるようになるまで短い移行期間が必要であろう。消費者の重大な健康被害がさらに起こらないよう、最も短い期間が適切である。


定義
・DMF dimethylfumarate
IUPAC名はDimethyl (E)-butenedioate
CAS番号は624-49-7
Einecs 番号は 210-849-0
・「DMFを含む製品」とは、(i)小袋などにDMFが入っているもの、(ii) 製品又は製品の一部に重量1kgあたり0.1mg 以上の濃度のDMFがあるもの
・ 2009年5月1日から流通禁止


参考文献
Williams J.D.L., et al. (2008), ‘An outbreak of furniture dermatitis in the UK’, British Journal of Dermatology 159: p. 233-234.
Rantanen, T.
The cause of the Chinese sofa/chair dermatitis epidemic is likely to be contact allergy to dimethylfumarate, a novel potent contact sensitizer. Concise communication.
British Journal of Dermatology 159: 218-221.


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Eurofins announces improved and reliable analyses for Dimethylfumarate (DMF)
http://product-testing.eurofins.com/news/announcements--updates/dimethylfumarate.aspx