食品安全情報blog過去記事

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EFSAは朝食シリアルの4-メチルベンゾフェノンについての助言を更新

EFSA updates advice on 4-methylbenzophenone in breakfast cereals
11 June 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902570831.htm
EFSAのCEFパネルは今年初めに、報告された量の4-メチルベンゾフェノン汚染のある朝食シリアルを短期間食べることによる健康リスクはないと考えた。この結論は類似化合物であるベンゾフェノンのデータを再評価して得られたものである。しかしながらもし4-メチルベンゾフェノンの使用が継続されるのであれば、完全なリスク評価のためにさらなる情報が必要だとした。
欧州委員会はEFSAにベンゾフェノンとヒドロキシベンゾフェノンに対する既存のTDIが4-メチルベンゾフェノンにも適用できるかどうかと、ベンゾフェノンとヒドロキシベンゾフェノンのTDIの再評価を要請していた。
CEFパネルはベンゾフェノンについて新しいTDI 0.03 mg/kg体重を設定し、この値は4-メチルベンゾフェノンやヒドロキシベンゾフェノンには適用できないとした。

  • ベンゾフェノンの毒性学的評価

Toxicological evaluation of benzophenone
11 June 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902570801.htm
ベンゾフェノンはラット二世代試験で最小用量(~6 mg/kg/day)で肝重量の増加なしに小葉中心肝細胞の肥大と説明されている肝肥大を誘発する。しかしながらベンゾフェノンは激しい肝傷害を誘発する濃度でさえも肝腫瘍を誘発しないため、この肝肥大は有害影響ではなく適応反応であると考えた。B6C3F1マウスでは40 mg/kg体重/日で肝腺腫を誘発し、これについては有害影響であるとみなした。しかしながらこのエンドポイントは腎臓への影響より感受性が低い。ラットのがん原性試験で腎腺腫が見られており、これはより低い濃度15 mg/kg体重/日での腎症や過形成などを伴うことから、この非腫瘍性腎病変を有害影響とみなした。これについてベンチマーク用量解析を行い10%BMDの95%信頼限界下限を3.1 − 7.4 mg/kg体重/日と計算した。そこで3.1に不確実係数100を採用してTDIは0.03 mg/kg体重/日とした。
SCFはベンゾフェノンと4-ヒドロキシベンゾフェノンに対してグループTDI0.01 mg/kg体重/日を設定していたが、これはベンゾフェノンのデータのみに基づいている。4-ヒドロキシベンゾフェノンはベンゾフェノンの主要代謝物2つのうちの1つであるが、これだけをもってベンゾフェノンと同じTDIに含めることは正当化できないと考える。
2009年3月4日に4-メチルベンゾフェノンについてEFSAが発表した声明において、暴露マージンの評価にはラット二世代試験での肝肥大を有害影響とみなした6 mg/kg/dayを用いている。この時計算したMOEは600以上であるため健康上の懸念はないと結論している。今回データを見直してラット二世代試験で見られた肝肥大は有害影響ではなく適応反応であると考えられたため、先の評価は安全側に余裕がある。声明発表までに時間が限られていたため、このような保守的なアプローチは妥当であったと考える。
新たなBMDL10を用いて最悪シナリオ(朝食シリアルをたくさん食べる−最も高濃度の4-メチルベンゾフェノン+他の食品)で計算すると子どもの最高暴露量は15.2 microg/kg体重/日となる。この暴露のMoEは204で、最低限必要な200より小さくはない。
従って報告された量の4-メチルベンゾフェノン汚染のある朝食シリアルを短期間食べることによる健康リスクはない。