食品安全情報blog過去記事

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「ベジタリアンはがんが少ない」

Behind the headlines
'Vegetarians get less cancer'
July 1 2009
http://www.nhs.uk/news/2009/07July/Pages/VegetarianDietCancerProtection.aspx
いくつかの新聞報道によればベジタリアンは肉を食べる人よりがんになりにくいそうだ。新聞はベジタリアン白血病やリンパ腫などの血液系のがんになる率が45%低く、全てのがんで12%低いという研究について報道している。
この知見は61566人のがんと食生活を調査した二つの大規模研究のプールした結果に由来する。参加者は研究開始時に食事についての情報を提供し研究者は最大26年、がんの発症を追跡した。調査対象となった20のがんのうち、胃・膀胱・血液のがんはベジタリアンで少なかったが、肉を食べず魚を食べることは卵巣がんリスクが少ない。
しかしながら全例数のうちこれら4つのがんの発症頻度は低く(特に胃と膀胱がん)、そのため計算されたリスクの数値の信頼性や一般への臨床的意味は低い。さらにこの研究には他にも限界があり、「ベジタリアンはがんのリスクが少ない」という結論はこの研究の知見を根拠にするのであれば十分注意して言及されるべきである。
食生活は開始時に一回自己申告で調査しただけ。
胃がんの発症件数は全体で49例、膀胱がんは85例、卵巣がんは140例で血液系のがんは257例と、これら4つのがんの絶対リスクはどのような食生活であっても極めて小さい。
しかも研究開始2年以内にがんと診断された人(つまり実験開始時には既にがんであったと考えられる人)を除外するともはやがんとベジタリアンの関連は統計学的有意差がなかった。