食品安全情報blog過去記事

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動物栄養用添加物としてのコバルト化合物の使用に関する科学的意見

Scientific Opinion on the use of cobalt compounds as additives in
animal nutrition
2 December 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211903081132.htm
塩化コバルトや硫酸コバルトは急性毒性は低いが呼吸器及び皮膚に感作性があり水棲環境では急性・慢性毒性があり吸入によりヒト発がん性の可能性がある。
ウマとウサギを除く単胃動物ではコバルトは必須ではないがビタミンB12は必要である。従って飼料にコバルトを添加する必要はない。
食事からコバルトが供給されると第一胃の細菌叢でビタミンB12が合成されるため、そのような動物のビタミンB12需要は食事からのコバルトでカバーできる。
しかしコバルトの代わりにビタミンB12を与えた場合の健康影響などについては充分なデータがない。またビタミンB12は経口だと第一胃で高率に分解されるため効果がないとっも考えられている。またビタミンB12によらないコバルト自体の小さな有用影響が観察されているため、反芻動物にはコバルトを与えるのが至適であろう。定量的データはないがウマや糞食性のウサギについても同様の結論が出せるだろう。
FEEDAPパネルは反芻動物とウマとウサギについてはコバルトの添加は維持されるべきだと結論した。最終飼料1 mg コバルト/kgが適切であろうと考えられる。魚飼料についてはバックグラウンドの高さから現行の2 mg コバルト/kgを維持すべきである。
動物由来食品の中で最もコバルト濃度が高いのは内臓で、レバーが約0.02-0.07 mg/kg新鮮重量(FW)、腎臓が0.001-0.01 mg/kgFWである。肉は0.001-0.02 mg/kg FWの範囲でミルクや卵は0.004-0.005 mg Co/kg、チーズやバターが0.02 mg/kg FWである。
コバルトの経口での発がん性についてはデータが無い。ヒトの既知の有害影響から守るための経口摂取量は1日600 g Coと考えられる。推定摂取量は英国で0.12 mg/day、米国で0.005 0.04 mg Co/dayなど1人あたり600 gを充分下回る。
FEEDAPパネルは飼料中コバルト化合物の認可において使用制限や最大量などを改定することを薦める。