食品安全情報blog過去記事

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科学雑誌のニュースから

  • 塩についての騒動

Science Insider
Much Ado About Salt
April 22, 2010
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2010/04/much-ado-about-salt.html?etoc
塩の健康影響についてはあまり議論の余地はないが、政府が国民の食生活にどう関与するかについては論争がある。
IOMがFDAアメリカ人の減塩のために塩規制を行うべきだと助言しFDAが規制をするという噂が流れた。FDAは直ちにそのような決定はしていないと噂を否定した。
減塩に健康上のメリットがあることについては一般的に合意されているが、政府が介入すべきかどうかについては議論の余地がある。例えば食品中の飽和脂肪を非難した結果、代わりに使われたのがより健康に良くないトランス脂肪だったという事例のように、思わぬ結果を招くこともある。

  • 携帯電話のリスクに関するヨーロッパの巨大研究

Europe's Humongous Study of Cell Phone Risks
April 22, 2010
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2010/04/europes-humongous-study-of-cell-.html?etoc
英国の科学者らが携帯電話の使用者に世界最大の携帯電話の健康影響研究に参加するよう呼びかけた。COSMOS研究では25万人を20-30年追跡する計画である。
COSMOS研究
http://www.ukcosmos.org/index.html

  • Science 23 April 2010 Vol. 328. no. 5977は教育特集

エディトリアル
多くのアメリカ人の科学の授業では自然界の事実を覚えることをメインにし、言語や芸術の授業ではフィクションを読んで時代遅れの定型文を書かせている。科学の授業にもリテラシー教育を取り入れ、事実を述べている文章とフィクションとを見分けることが役に立つだろう。
読むために学び、学ぶために読むという導入論文から始まってリテラシーに関す論文を掲載している。

  • BMJのニュース

FDAは米国人に塩分の多い食品を食べないよう対策するよう伝えられた
FDA told to act to wean US citizens off high salt diet
BMJ 2010;340:c2219
http://www.bmj.com/cgi/content/full/340/apr22_2/c2219
問題の一部は米国人は食べる量が多過ぎることだがそれだけではない。

  • BMJのエディトリアル

食品から工業由来トランス脂肪を排除する
Removing industrial trans fat from foods
BMJ 2010;340:c1826
Dariush Mozaffarian, Meir J Stampfer
英国のFaculty of Public HealthとRoyal Society for Public Healthが発表した公衆衛生改善のための12項目の中にトランス脂肪禁止が入っていることを受けてトランス脂肪の使用禁止を支持。

公衆衛生改善のための12項目
12 STEPS. TO BETTER. PUBLIC HEALTH
http://www.fphm.org.uk/resources/AtoZ/manifesto/manifesto.pdf
1. アルコール1ユニットあたり50ペンスの最低価格の設定(エタノール8gあたり70円くらい)
2. 夜9時前のジャンクフードのテレビ宣伝完全禁止
3. 子どもの乗る車では禁煙
4. 大学や専門学校の新入生にクラミジアのスクリーニングをする
5. 建物のある地域では最高時速20マイル
6. 全ての中等学校にスクールナースを配置
7. 自転車専用レーンを増やす
8. 全ての包装済み食品に統一した表面への栄養成分表示
9. 学校の運動施設の拡充
10. 推定同意で臓器移植ができるようにする(イヤだという意思表示がなければ同意と見なす)
11. 16歳以下の全ての子どもに無料で給食を提供する
12. トランス脂肪の使用を禁止する
(この文脈でしかも12番目ということなら理解はできる。他の項目も望ましいかもしれないが実現可能かどうかは?)