食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

現場からの報告:5才未満の子どもたちの急性鉛中毒アウトブレイク ザムファラ、ナイジェリア2010

Notes from the Field: Outbreak of Acute Lead Poisoning Among Children Aged <5 Years --- Zamfara, Nigeria, 2010
MMWR July 16, 2010 / 59(27);846
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5927a3.htm?s_cid=mm5927a3_w
2010年5月8日にナイジェリア保健大臣はザムファラの少なくとも6つの村での鉛中毒による死亡報告の調査団を組織した。CDCやWHO、国境無き医師団(MSF)等が参加し5月16日から調査を開始した。
2010年5月23日から6月4日までの間に119の家族を調査し、2009年5月以降の12ヶ月間でこの家族の中の5才未満の子ども463人中118人(26%)が死亡していた。その死亡のうち82%は6ヶ月以内だった。親の報告では死亡した子どもの82%が死亡前に重症鉛中毒の兆候である痙攣をおこしていた。生きている5才未満の子ども205人の血液検査の結果全員が鉛中毒(≥10 µg/dL)、そして97%がキレート剤治療を開始する閾値(≥45 µg/dL)以上だった。血中鉛濃度は33.3-445 µg/dLであった。家族の2/3が鉛を多く含む金鉱石を家庭内で扱っていて、そのような作業を始めたのは12ヶ月以内が76%だった。土壌やダスト中の鉛濃度は45 ppmから>100,000 ppmだった。85%がEPAの子どもがいる地域の環境基準値400ppmを超過していた。
対策法としてはキレート治療や汚染地域の同定と汚染除去、公衆衛生メッセージの発出と採鉱の規制などである。7月16日までにMSFが166人の子どもにキレート剤治療を行った。多くの子どもの反応は良く、痙攣は治療後1日以内に消失している。6月8日から2つの村で汚染除去作業が始まっている。他の村に患者がいないかどうかの調査、動物の健康、子どもたちの長期モニタリングや支援が現在進行中である。