食品安全情報blog過去記事

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「グレープフルーツが糖尿病を治す」は証明されていない

Behind the Headlines
'Grapefruit diabetes cure' unproven
Thursday August 26 2010
http://www.nhs.uk/news/2010/08August/Pages/grapefruit-chemical-diabetes-cure.aspx
Daily Mirrorは「グレープフルーツは糖尿病を治す果物治療薬」と報道した。新聞はグレープフルーツに含まれる化合物ナリンゲニンが2型糖尿病治療に使われている2つの薬物と同じ働きがあることを示唆している。驚くことにその研究は実験室でラットとヒトの肝細胞を使ってナリンゲニンの作用を調べただけのものだ。このような極めて予備的な研究から糖尿病が治療できるとは言えない。この研究はナリンゲニンが細胞の脂質代謝に与える影響を調べたもので糖尿病と直接関係はない。ヒトでの臨床研究が行われるまでナリンゲニンが治療用に使えるのかどうか、副作用はどうかについては言えない。
グレープフルーツは多くの薬物を代謝する酵素と相互作用することが知られており、食べ過ぎると薬物治療に影響して有害影響が起こりうる。糖尿病患者をはじめ投薬治療中の人は新聞の言い分を鵜呑みにして医薬品の代わりにグレープフルーツを食べようなどと思わないこと。