食品安全情報blog過去記事

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過体重及び肥満患者の心血管系アウトカムへのシブトラミンの影響

Effect of Sibutramine on Cardiovascular Outcomes in Overweight and Obese Subjects
W. Philip T. James et al.
N Engl J Med 2010; 363:905-917 September 2, 2010
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1003114
SCOUT試験
心血管系疾患や2型糖尿病のある55歳以上の肥満または過体重の10744人に、シブトラミンの投与の有り/無しでの体重管理を行って平均3.4年の結果。シブトラミン群での体重抑制は対照群より1.7kg多いだけで、致死的でない心筋梗塞脳梗塞のリスクは高かった。

エディトリアル
シブトラミン−もう一つの欠陥のある痩身薬
Sibutramine — Another Flawed Diet Pill
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMe1007993
2010年9月15日にFDAシブトラミンの運命を決めるための会合を開く。
シブトラミンシナプス前神経終末でのセロトニンとノルエピネフリンの再取り込みを阻害し満腹感を誘発する薬物として1997年にFDAにより認可された。同じ年に同様の作用メカニズムのあるフェンフルラミンとデクスフェンフルラミンが予期せぬ重大な心血管への有害反応により市場から排除された。シブトラミンにはこれらの薬物で見られた問題は無かったが、血圧上昇と心拍増加が見られ、FDAは警告表示を求めた。
SCOUT試験で見られた心血管イベントリスク増加はシブトラミンによる血圧と心拍増加に関連する可能性がある。ヨーロッパではEMAが2010年1月21日にSCOUT試験の予備的データから、リスクがベネフィットを上回るとして認可を停止した。