食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他ニュース

  • 実験用マウスのより良いつかみ方

Natureニュース
Getting a better grip on lab mice
Published online 12 September 2010 | Nature | doi:10.1038/news.2010.462
http://www.nature.com/news/2010/100912/full/news.2010.462.html
実験動物を丁寧に扱うことで彼らを穏やかに保ち実験による変動を減らせるかもしれない
尻尾をつかんで持ち上げるのではなく手で包み込むように持ったり小さな筒に入れて運ぶとマウスのストレスが減らせることが示唆されている。
Nature Methodsに発表された論文。
(ラットだと厳しいかも・・・)

  • 例え低用量の鉛でも有害である

The Lancet, Volume 376, Issue 9744, Pages 855 - 856, 11 September 2010
doi:10.1016/S0140-6736(10)60745-3
Even low-dose lead exposure is hazardous
Philippe Grandjean
EFSAが鉛の暴露量について安全量は設定できないという意見を発表したことについて(http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20100421#p1の件)の意見。
鉛の環境や飲料水や食品中基準値が引き下げられる可能性がある。これまでも鉛の基準値は時代とともにどんどん引き下げられてきた。
(なにしろエンドポイントが知能指数の僅かな低下なので不確実性も大きいために)安全量が設定できないという意見を「毒か薬かは量が決める」という毒性学の基本が否定されたと主張している。GrandjeanはEFSAのワーキンググループのメンバーでもあり、メチル水銀の毒性についても低濃度でも有害だと主張している。
(こういう主張に対してはリスクベネフィット解析や規制影響評価のような定量評価しかないと思う。知能指数1ポイント上げるためのコストが鉛やメチル水銀の排除ならいくらで教育の充実ならいくら、とか、知能指数が1ポイント上がるとどれだけ影響するのか、とかいろいろ視点はあるだろう。有害影響をゼロにすることだけを考えるのはまずい。)

  • 日本:我々の未来を映す鏡

Offline: Japan: a mirror for our future
Richard Horton
Volume 376, Issue 9744, 11 September 2010-17 September 2010, Page 858
日本に行くと多くのことが違う。日本の新聞は権威を尊重し男性は当たり前のように煙草を吸う。日本は孤立したがっているように見えるかもしれないが実際には世界の中に含まれることを熱望している。我々は日本の政治危機と医療システムの危機を深刻に受け止めなければならない。2011年は日本の国民皆保険制度達成の50周年であるが今や危機に瀕している。人口減と高齢者増、肥満や糖尿病増加、すさまじい自殺者などやるべきことは多い。科学的根拠に基づいた政策が必要なのは明白である。研究者は系統的に根拠を集め、科学者のリーダーが根拠を広める。政策の根拠に信頼できる知識を要求する政治的文化が必要で、政策決定者のために知識を創り出し伝える組織が必要である。そして新しい政策は単に履行されるのではなく評価される必要がある。そのどれもが日本には不足している。メディアも市民も科学者も責任を果たしていない。
経済危機の中で日本は視野を狭め国際的影響力を小さく見積もっているが日本の医療システムの成功は日本だけの問題ではない。

BBC
Doctors warn over homeopathic 'vaccines'
12 September 2010
http://www.bbc.co.uk/news/uk-scotland-11277990
ホメオパスMMRワクチンの代わりになるというレメディを患者に与えていることについて、危険であると医師が警告。
BBCは9月13日にホメオパシーに関するドキュメンタリー「Magic or Medicine −Homeopathy and the NHS」を放送予定
イングランドよりスコットランドの方がホメオパシーが多く使われている