食品安全情報blog過去記事

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アスピリンががんリスクを削減するか?

Does aspirin cut cancer risk?
Tuesday December 7 2010
http://www.nhs.uk/news/2010/12December/Pages/aspirin-and-cancer-risk.aspx
Daily Expressが「毎日魔法の薬アスピリンを飲むのが最も簡単ながん予防法」と報道した。
このニュースは25000人以上を含む日々のアスピリンの使用とがんによる死亡を記録した8つの臨床試験データを解析した研究に基づく。フォローアップ期間のがんによる死亡数は674だった。アスピリンを使っていた人の方が使っていない人よりがんによる死亡が少なかった。
全体として、この研究は質が良くこの知見は次のがん予防のための臨床ガイドラインレビューにおいて他の根拠とともに考慮されるだろう。しかしこの研究だけでは広く一般にアスピリンを薦める十分な根拠とはならない。なぜならばアスピリンの長期使用は、特に高齢者で、内出血リスクと関連するからである。人によりメリットは異なる可能性がある。
アスピリンをとりはじめたい人は医師に相談するように。重要なことはここで検討されている量は75mgと低く、鎮痛剤として販売されているOTC錠剤の1/4であることである。
バファリンは1錠330mg。欧米人の場合と違って大腸がんより胃がんが多くて脳出血による死亡が多い日本人だとデメリットの方が大きいかもしれない。ニュースに飛びついてバファリン飲んだりしないほうがいいと思うけど。一昔前は認知症予防に有効と期待されたけど結局ダメだったし。)
もと論文
Effect of daily aspirin on long-term risk of death due to cancer: analysis of individual patient data from randomised trials
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(10)62110-1/abstract