食品安全情報blog過去記事

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乳製品は糖尿病リスクを下げるか?

Behind the headlines
Can dairy cut diabetes risk?
Tuesday December 21 2010
http://www.nhs.uk/news/2010/12December/Pages/can-dairy-cut-diabetes-risk.aspx
Daily Expressが「乳製品に含まれる天然物が糖尿病予防に役立つ」と報道した。脂肪酸の一種であるパルミトレイン酸の血中濃度が高い人は低い人より60% 2型糖尿病になりにくいことがわかったという。この研究では全脂肪乳を摂取することと血中トランスパルミトレイン酸の増加が関連し、さらに肥満の少なさ、善玉コレステロールの多さやインスリン耐性の低さ、糖尿病リスクの低さと関連することを見いだした。Daily Expressは低脂肪乳のメリットがわかったと報道しているがそれは正しくない。研究者が発見したのは全脂肪乳と糖尿病リスクの削減との関連だけである。
全体としてこの研究は乳製品が糖尿病リスクを低下させるというしっかりした根拠とは言えない。研究者はトランスパルミトイル酸について追加の詳細な臨床試験が必要だと言っている。現時点では最良の助言はバランスのとれた食生活の一部として乳製品を摂るように、ということである。

(記事が低脂肪乳になったのはDiabetes UKがこの論文を受けて、脂肪の多い乳製品の摂りすぎに注意するようにという声明を出したためと思われる、とある
Diabetes UK
Claims are made for dairy foods and their potential for reducing Type 2 diabetes risk
21 December 2010
http://www.diabetes.org.uk/About_us/News_Landing_Page/Claims-are-made-for-dairy-foods-and-their-potential-for-reducing-Type-2-diabetes-risk/
糖尿病予防を口実にして乳製品を食べ過ぎると太るから、だって。Diabetes UKは低脂肪乳製品を勧めている。
Mozaffarianは飽和脂肪はそんなに悪くないと主張している。
http://www.ajcn.org/content/80/5/1102.full
http://www.meandmydiabetes.com/2010/11/13/saturated-fat-and-heart-disease-risk-dariush-mozaffarian/
基本的に食べすぎが問題なのだから、適切な摂取カロリーの範囲内での乳製品に含まれる脂肪が健康に悪影響があるとまでは言えないはず。むしろミルクに甘いチョコレート味をつけてまで低脂肪にすることを強制していることのほうがおかしいだろうとは思う。)