食品安全情報blog過去記事

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有害事象経験と残留農薬検査結果が間違って報道された

Adverse experience and residue results misreported
14 January 2011
http://www.apvma.gov.au/news_media/our_view/2011/2011-01-14_results_misreported.php
新聞はしばしば、特にクリスマスから新年にかけて、読者の気を引くためにセンセーショナルな報道をしたがる。しばしば情報を伝えることを犠牲にして。
12月後半にThe Canberra Timesがそのようなニュースを2つ報道した。1つは12月28日の2009-2010全国残留農薬調査(NRS)の知見をもとに「家畜のホルモン濃度は高いことがわかった」である。検査結果では全ての検出されたホルモン濃度が基準値以内だったのに、ジャーナリストは「家畜の成長ホルモンは許容値より高くヒトの健康にリスクがある」と報道した。NRSでは食用の家畜約15000検体について20万ほどの検査をし、そのうち105件でホルモンが検出されている。さらにそのうち52件は動物自身が創り出したホルモンで、45件は天然に植物に含まれるホルモンである。合成ホルモン(トレンボロン)はウシの肝臓に8件ほど検出されたが基準値を超過していない。
二つ目の報道は12月29日の「ワクチンやスプレーがペットのがんや死亡に関連する」である。これはAPVMAの2009年有害事象報告発表を受けたもので、この報告書はAPVMAに報告された有害事象をまとめたものである。有害事象報告は登録されている農薬や動物用医薬品の市場での安全性監視のためのシステムで、記事の主張する動物用医薬品がペットに危険であるというのは間違いである。
センセーショナルな報道をして注目を集めようとするメディアにより、これら報告書の含む良いニュースは無視された。残留農薬等のコンプライアンスは高く、動物用医薬品による重大な有害事象は極めて少ない。