食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

ミニレビュー:野菜や果物とがんリスク

Fruit and vegetables and cancer risk
TJ Key
British Journal of Cancer (2011) 104, 6 –11
http://www.nature.com/bjc/journal/v104/n1/pdf/6606032a.pdf
野菜や果物ががんリスクを削減するのに役立つ可能性については30年以上研究されてきたが、確実な保護作用は証明されていない。上部消化管のがんについては疫学研究では一般的に比較的野菜や果物を多く食べることによる弱いリスク削減が観察されているが、喫煙と飲酒による交絡の可能性があるため解釈には注意が必要である。肺がんについては最近の喫煙について詳細な補正を行った大規模前向き解析では野菜や果物摂取とリスク削減の説得力のある関連は示されなかった。大腸がん、乳がん前立腺がんなどのがんについては疫学研究では野菜や果物の摂取とリスクの関連はほとんど無いか全くない。野菜や果物の摂取量が極めて少ない集団に比べれば適度の摂取ががんリスクを削減する可能性などはまだ残されている。栄養政策では健康的な食事には野菜や果物を少なくとも適度に食べることを薦めているが、入手できるデータからは栄養が足りている集団において野菜や果物をより多く食べることによってがんの発症率には大した影響はないだろうことが示唆されている。食事とがんについては、適量の野菜や果物を食べることを薦めるべきではあるが、肥満や飲酒など確実に根拠のあるものについて強調すべきである。
(適量がどのくらいなのかが問題で、日本の場合海外より目標値を高くして少ないと主張している印象。普通は野菜と果物は分けないことに注意。5adayでは合計400g程度になるが日本の場合野菜は350で果物は200で合計550gが目標になっている。)