食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

リスクの低い人へのスタチンの利益には疑問

Behind the headlines
Statin benefit for low risk people 'questionable'
Wednesday January 19 2011
http://www.nhs.uk/news/2011/01January/Pages/cholesterol-lowering-statin-drugs-examined.aspx
「最大300万人が必要のないスタチンを摂っている」とThe Daily Telegraphが報道した。包括的研究によってスタチンが「多くの場合効果がなく害が利益を上回る可能性がある」ことを示唆したという。このニュースは心臓発作や脳梗塞などのような心血管系疾患の既往のない人達にスタチンを投与した試験をレビューしたものである。スタチンには死亡リスクを下げることと何らかの心血管系疾患リスクを下げるという幾分かの根拠があるがいくつかの限界がある。
このレビューはスタチンを処方するかどうかについて決定する場合には個人の全体的な心血管系リスクを注意深く検討する必要性を支持するものである。高リスク集団においては明確にスタチンのメリットがリスクを上回る。しかし低リスク集団についてはこのバランスが別の方に傾くこともある。この結果は心血管系イベントリスクの低い人達にスタチンを幅広く勧めることを支持しない。
(スタチンをコレステロール濃度を下げると読み替えてみるといいかも。トランス脂肪「ゼロ」を主張するのはあまり意味がないという話の関連で。)

Statins for the primary prevention of cardiovascular disease
http://onlinelibrary.wiley.com/o/cochrane/clsysrev/articles/CD004816/abstract.html

コクランレビューなので
他にコクランIssue 1, 2011から

  • 成人のがんの痛みに鍼

Acupuncture for cancer pain in adults
http://onlinelibrary.wiley.com/o/cochrane/clsysrev/articles/CD007753/abstract.html
根拠不十分

  • 月経困難症に鍼

Acupuncture for primary dysmenorrhoea
http://onlinelibrary.wiley.com/o/cochrane/clsysrev/articles/CD007854/abstract.html
周期的痛みを軽減する可能性はあるが質の高い無作為対照化試験が必要

  • 男性の受胎能低下に抗酸化物質

Antioxidants for male subfertility
http://onlinelibrary.wiley.com/o/cochrane/clsysrev/articles/CD007411/abstract.html
生殖補助治療実施中の不妊カップルの男性が抗酸化サプリメントを摂ることは子どもが産まれる可能性を増やすかもしれない

Vitamin K supplementation for cystic fibrosis
http://onlinelibrary.wiley.com/o/cochrane/clsysrev/articles/CD008482/abstract.html
根拠は弱い。