食品安全情報blog過去記事

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  • レギュラトリーサイエンスを発展させる

Science 今週号のエディトリアルはFDA長官Margaret A. Hamburg
Advancing Regulatory Science
食品や医薬品の安全性と品質を確保することはますます複雑になっている。世界中が患者や消費者のために最良の科学と技術を活用するというより困難な課題に挑戦している。このためには強いレギュラトリーサイエンスが必要であるが、これまでレギュラトリーサイエンスは重要であるにもかかわらず過小評価され資金不足だった。
今日、我々は科学的知見を治療に有効活用してもいなければ食品や医薬品の安全性確保に知識を十分に生かしてもいない。21世紀の問題には21世紀のアプローチが必要だ。毒性学がいい例である。規制評価に用いられるほとんどの毒性学的ツールは動物に高用量与えた場合のデータをデフォルトで外挿しているだけで、ここ半世紀の科学的革命にもかかわらず数十年変わっていない。我々は時間と費用を削減するため製品の開発段階で早期に懸念材料を予想するより良いモデルを必要としている。さらに食品やその他の製品の暴露によるリスクについての懸念を評価するためのツールの近代化が必要である。
FDAはレギュラトリーサイエンスを強化し毒性学を変容させるための方法を準備している。しかしこれには学会や企業、その他の政府機関などの協力が必要である。幸い既に作業は始まっている。
(以下バイオマーカーの評価やオミクスによる動物実験代替などの例)
レギュラトリーサイエンスへの投資は安全性向上のための新しい時代を導くだろう。公衆衛生の向上のみならず経済や雇用、競争力の向上などでこの国の将来に大きな影響を与えるだろう。政治家や企業の主導者、科学コミュニティには要請に応えて欲しい。待ったなしである。

  • 中国 活動家は遺伝子組換え作物と科学者に攻撃

Science 25 February 2011:
Vol. 331 no. 6020 pp. 1000-1001
News & Analysis
China
Activists Go on Warpath Against Transgenic Crops—and Scientists
Richard Stone
中国のGM作物パイオニアZhang Qifa(張啓発)がグリーンピースなどの反GM活動の標的になっている。
2009年11月に中国政府がGM米2品種とトウモロコシ1品種に安全性認証を与えて以来、Zhangら研究者への攻撃が続いている。中国の反対運動の大きな団体に2003年に設立されたユートピアUtopiaがある。この中にはマルクス主義者、毛沢東主義者、国粋主義者などがいる。

  • CT画像診断再考

Science 25 February 2011:
Vol. 331 no. 6020 pp. 1002-1004
Second Thoughts About CT Imaging
CTスキャンによる放射線ががんを誘発しているのではという懸念が注目されている
2009年3月に放射線防護測定委員会が発表した報告書によれば、2006年のCTのみによる放射線暴露は米国人全体の24%になり、これは1980年には0.4%だった。2009年末にBerrington de Gonzálezらは米国で2007年に行われた7千万件のスキャンにより29000の新たながんの発生につながるという論文をArchives of Internal Medicineに発表した。しかしCTスキャンがどれだけ危険かについては大きな論争がある。Mayo クリニックのCynthia McColloughは低線量の放射線はむしろがん予防にすらなると言う。しかし結論はどうあれ線量を最小限にすることには合意がある。ただしこれは任意で有効性は保証できない。FDAにはCTマシンをもっと規制しろという圧力がかかっている。