食品安全情報blog過去記事

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その他論文

Lowering LDL cholesterol with margarine containing plant stanol/sterol esters: is it still relevant in 2011?
Doggrell SA
Complement Ther Med. 2011 Feb;19(1):37-46. Epub 2011 Jan 16
植物スタノール/ステロールエステルの使用に関する助言は2001年以降更新されていない。2001年以降多くの抗高脂血症薬が開発された。2011年における植物スタノール/ステロールエステルを含むマーガリンの意味について検討した。結論として正常との境界例以外では処方薬の方が優先されるべきであろう。

  • 4-13才の子どもで、普通の乳製品を低脂肪に変更すると飽和脂肪摂取量は減るがエネルギー摂取量に差はない

Changing from regular-fat to low-fat dairy foods reduces saturated fat intake but not energy intake in 4–13-y-old children
Am J Clin Nutr May 2011 vol. 93 no. 5 1117-1127
Gilly A Hendrie and Rebecca K Golley
http://www.ajcn.org/content/93/5/1117.abstract
4-13才の子どもをもつ93家族に対して、乳製品を低脂肪に変える(子ども76人)、テレビを見る時間を減らす(子ども69人)教育を保護者にし、24週間観察した。乳製品の摂取量に差はなく、低脂肪乳製品群では飽和脂肪の摂取量が減ったがエネルギー摂取量に違いはなかった。

  • ヨーロッパにおけるハーブ医薬品の規制を強化する

Strengthening the regulation of herbal medicines in Europe
The Lancet, Volume 377, Issue 9776, Page 1466, 30 April 2011
広く使用されているものの、多くのハーブ医薬品の有効性は証明されていない。さらに多くの消費者がハーブはナチュラルだから安全だと誤解しており、ハーブが重大な有害健康影響を引き起こす可能性について認識していない。ヨーロッパにおける最悪のハーブ誤用事件は1998年に100人以上のベルギー女性がハーブAristolochic fangchi(広防已)を含む痩身用錠剤を使用して腎不全になったことである。そのうち18人が尿路上皮がんになった。英国では毎年70件ほどのハーブ医薬品が原因と疑われる有害事象報告がMHRAに報告されている。
消費者を保護するために欧州議会欧州理事会は2004年3月31日に伝統ハーブ医薬品製品指令を採択した。この指令は全てのハーブ医薬品製品にEUでの登録・販売前に一定の安全性基準を満たすことを求める。規制の前に既に販売されていたものについては7年の猶予期間を設けた。2011年3月23日までにMHRAに届け出られてのは211件の申請で、そのうち101に伝統ハーブ医薬品登録ライセンスが与えられた。
この指令により、特に中国で、ハーブ業界に大きな影響がある。中国からは登録が認められたものは1つもなく、従って2011年5月1日以降、全ての中国産漢方薬EUでは禁止になるだろう。さらにこの指令はハーブプラクティショナーや患者にも影響するだろう。登録されていない製品を使用している患者は製品が入手できなくなり、さらに信頼できない製品を探すだろう。ハーブプラクティショナーは使える製品が減るだろう。それでもこの規制がEUの公衆衛生を守るためには不可欠なものである。人々には登録された医薬品はそれがハーブであろうとなかろうと安全で有効であることを期待する権利がある。ハーブを使うことが一般的であるような国でも、同様の基準がある。

  • 未登録ハーブへのアクセスを確保する英国の動き

UK moves to ensure “access to unlicensed herbal medicines”
The Lancet, Volume 377, Issue 9776, Pages 1479 - 1480, 30 April 2011
David Holmes
英国政府がヨーロッパ指令への抜け道を用意する動きをハーバリスト達は歓迎し医師団体は失望している。
EU指令2004/24/ECが発効する4月末に、英国のハーブプラクティショナーが未登録ハーブを患者に与えることは違法になるはずだった。しかし英国保健大臣Andrew Lansleyは英国内で未登録ハーブを売り続けることができるような例外規定を導入することを決めた。
一定の基準を満たしたプラクティショナーであれば未登録ハーブを販売できるというものである。ハーブ団体は歓迎し医療者は批判している。
Peninsula医科大学補完医療のEdzard Ernst教授は、政府はチャールズ皇太子の財団などによるロビー活動に負けて公衆衛生に大きな穴をあけたと批判している。
Lansley大臣はEU指令を無視するのに患者の選択権を主張しているが、情報を提供されていない状態での選択権には意味がない。

  • 中国における鉛中毒:工業化による悪夢

Lead poisoning in China: a nightmare from industrialization
Ailing Ji et al.,
The Lancet, Volume 377, Issue 9776, Pages 1474 - 1476, 30 April 2011
安徽省で血中鉛濃度100 microg/Lを超過する子ども228人が2011年1月に発見された。そのうち23人は250 microg/L以上で治療のため入院した。地元当局は、汚染源となったバッテリー工場を閉鎖した。2009年以降、中国各地で4000人以上の子どもの鉛中毒が報告されている。(図)

FDA: Infants Often Get Herbal Teas, Supplements
May 02, 2011
http://www.medpagetoday.com/Pediatrics/GeneralPediatrics/26215
FDAとCDCが2005-2007年に行った妊婦とその子どもの調査によれば、9%もの乳児が、生後1年以内にサプリメントハーブティーなどを与えられている。多くが1ヶ月以内である。医師はそのようなサプリメントの有害影響や医薬品との相互作用に注意すべきである。自分がサプリメント使用者である場合やヒスパニックで赤ちゃんにサプリメントを与えやすい、またサプリメント使用者に母乳を与える期間が長い。目的は赤ちゃんを静かにさせるため、消化を助ける、夜泣き、リラクゼーション。
Zhang Y, et al. "Feeding of dietary botanical supplements and teas to infants in the United States" Pediatrics 2011; DOI: 10.1542/peds.2010-2294.