食品安全情報blog過去記事

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食品やアルコールが欲しくなる遺伝子

Gene implicated in food and alcohol cravings
Friday July 15 2011
http://www.nhs.uk/news/2011/07July/Pages/gene-implicated-in-dietary-and-alcohol-cravings.aspx
Daily Telegraphが「DNA解析によれば、西洋人は酒を飲み不健康な食品を食べるように遺伝的にプログラムされている」と報道した。科学者がヨーロッパ人がアジア人より「脂肪の多い食品やビールやワインを欲しがる遺伝子を持っている」可能性が高いことを発見したという。これはガラニン遺伝子が食事の嗜好性や気分に与える役割を調べた実験室での研究によるもので、ガラニンは感情や気分に関与する脳領域で産生されるタンパク質である。これまでの研究からゲラニンは齧歯類で脂肪摂取や不安、気分関連行動に影響し、ヒトではアルコール依存症やその他の依存症と関連することが示唆されていた。この研究は脳細胞でのガラニン遺伝子の調節、特に遺伝子の近くにある調節DNA配列が遺伝子のオンやオフを行うスイッチとして作用するかどうかを調べたものである。
現時点ではこの研究からは限られた解釈しかできない。ガラニン遺伝子とそのタンパク質は食品やアルコールの摂取に関係するかもしれないが他にも関与するものはあるだろう。そしてここで検討されているDNA配列がこの遺伝子の主要調節因子であるという保証はない。
西洋人が肥満になるべくプログラムされているのだと結論するにはさらにしっかりした根拠が必要である。我々の遺伝子に関わらず、健康的な食生活と定期的運動と適度な飲酒が健康的ライフスタイルには最良の方法である。
(肥満に関係する遺伝子があるという話が、欧米では「だから肥満でも仕方ない」、というふうに解釈されがちなのに日本では「だから肥満基準を厳しくして痩せないと」、と解釈されがちなことのほうが不思議。)