食品安全情報blog過去記事

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Lancet Oncologyより

  • タバコとわかりやすい包装:戦線は張られた

エディトリアル
Cigarettes and plain packaging: the battle lines are drawn
The Lancet Oncology, Volume 12, Issue 8, Page 709, August 2011
http://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045%2811%2970204-2/fulltext?elsca1=TLO-010811&elsca2=email&elsca3=segment
2011年7月6日、オーストラリアは議会にタバコのわかりやすい包装についての議案を提出した最初の国になった。この規制は警告表示を明確にし、かつ製品の魅力を減らすことによって喫煙者やこれからタバコを吸い始める人達を減らすことを目的としたものである。もし採択されれば規制は来年成立するだろう。予想通り発表前からタバコ企業による反対活動が始まった。この規制はTRIPS(知的所有権の貿易に関連する側面に関する協定)評議会やWTOの貿易障壁委員会に持ち込まれている。さらにタバコ企業はオーストラリアを過保護国家と呼ぶなど消費者向けの規制反対キャンペーンを行っている。オーストラリアのタバコ市場は比較的小さいが、やがてカナダや英国、ニュージーランドなどに拡大することを予想しているのだ。FDAも既に警告強化を提案している。タバコ対策が企業や既得権益保有者による意図を隠した戦略によって脱線させられてはならない。

  • 身長とがん:一貫した関連、しかしメカニズムは不明

Height and cancer: consistent links, but mechanisms unclear
Andrew G Renehan Pages 716 – 717
ある種の身体計測結果はがんリスクと強く関連する。そのうちBMIのような脂肪の多さについての指標は注目されているが、身長についてはあまり注目されていない。Lancet Oncologyに発表された研究でこの欠陥をに注目し、百万人女性研究(Million Women Study)での17のがんリスクと身長の関連を定量化した。皿に他の10の前向き研究のデータを加えたメタ解析の結果、身長とがんには一貫した関連があることが示された。
大人になったときの身長が直接がんリスクを変えることはありそうにないので、この研究のがん予防への意味は何だろう?身長は遺伝要因が大きいが、子どもから思春期までの栄養や病気や社会経済的要因も関係する。しかしこれらの要因とがんの関連は多様な結果になっていて不明である。BMIはいくつかのがんの確立されたリスク要因であるが、身長との交絡がある可能性がある。例えば乳がんBMIは閉経前の女性には逆相関があるが閉経後は正の相関がある。一方で身長が高いと乳がんリスクが高いが、高い身長はBMIに影響する。身長に影響されない脂肪の多さの指標が必要になるかもしれない。
(身長と関連の確認されたがんって欧米人より日本人で少ないがんなので、整合性がある。つまり日本人女性が乳がんが少ないのは小さいからで大豆を食べるからというような日本食がいいという主張は否定されるかも。むしろ日本人は胃がんや肝臓がんなどが多いので、和食はがんにとって良くない、という可能性だってある。きちんとしたデータがないのになんとなく和食が良いと言って満足してるのはおかしいよね)