- インチキ薬のセールスマンを厳しく批判していた人が早期退職を宣言
Science 5 August 2011:
Vol. 333 no. 6043 p. 687
News & Analysis
Alternative Medicine Scourge of Snake Oil Salesmen Bids an Early Farewell
Kai Kupferschmidt
Edzard Ernstが英国Exeter大学の補完代替医療(CAM)教授になったとき、彼は静かな生活を予想していた。この分野は医学の主流ではないしExeter大学はアカデミックの世界では中心ではなかった。しかし18年後、Edzard Ernst教授は王室と公の場で争うことになり、彼が設立に尽力した学科を救うために早期退職を余儀なくされた。予想していたより厳しいものだった。
Ernst教授は63才でCAMの研究においては世界のリーダーである。彼の仕事は素晴らしいものだ、とロンドン大学のMichael Baum名誉教授は言う。ただErnst教授の根拠のない治療法への手厳しい批判は多くの敵も作った。先週の退職記念記者会見ではチャールズ皇太子を「インチキ薬のセールスマン」と呼んだ。
チャールズ皇太子の私設秘書がErnst教授を守秘義務違反と訴えてExeter大学に13ヶ月に渡る調査を行わせ、結果的に問題はないとされたが大学はErnst教授の研究ユニットへの資金提供をストップした。最近大学が研究部門を残すことと引き替えにErnst教授の退職を決定した。Ernst教授はもう一年ハーフタイムで再雇用されるが後継者に期待している。
科学がインチキとの戦いに勝つことはないだろう。しかしそれは我々全員がその代償を支払うべきだという意味ではない。
- 福島は放射線と健康についての30年の長い冒険を始める
Fukushima Begins 30-Year Odyssey in Radiation Health
Vol. 333 no. 6043 pp. 684-685
研究を主導する福島県立医大安村誠司教授にDennis Normileがインタビュー
- ワクチンの信頼性ギャップに対応する
Lancet
Addressing the vaccine confidence gap
Dr Heidi J Larson PhD
Volume 378, Issue 9790, 6 August 2011-12 August 2011, Pages 526-535
最良の公衆衛生介入の1つだったワクチンが一般からの信頼を失いつつある。一部の専門家はこれを危機と呼ぶ。この原因となる世界の環境の変化を概説し、人々のワクチン受容には科学的根拠だけでは不十分で心理的・社会文化的・政治的要因を考慮しなければならない。
(日本を含む)多くの国で間違った情報、うわさ、反ワクチン活動によるワクチンで予防可能な疾患の再興がおこっている。過激な反対派が意見を変えることはないだろうから受容する可能性のあるマジョリティに焦点を絞って協力して対策することを薦める。