食品安全情報blog過去記事

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赤ちゃんを保育園に預けると心疾患のリスクがあがるか?

Sense about Science
For the record
Can putting a baby in nursery raise its risk of heart disease?
12 September 2011
http://www.senseaboutscience.org/for_the_record.php/73/can-putting-a-baby-in-nursery-raise-its-risk-of-heart-disease
2011年9月12日のDaily Mailの記事は、The Biologistに発表されたAric Sigmanのレビューを引用して保育園の小さい子どもはストレスホルモンであるコルチゾール濃度が高いために心疾患のような長期有害影響につながると述べている。
このレビューはまだ発表されていないが、Aric Sigmanは自身のウェブサイトで、保育園が害のないライフスタイルの選択肢であるという偏った認識を変えたかったと述べている。
有害影響があったという知見のみを集めたものは読者に根拠の概要を示すことにはならない。個別の研究結果の、他の研究の文脈での解釈は科学の研究における大きな課題のひとつである。系統的レビューはひとつの方法である。

本人の釈明文が発表されている
Statement on article Mother Superior? The Biological Effects of Daycare
http://www.aricsigman.com/IMAGES/Statement2.pdf
新聞記事は拡大解釈であり本人が認められないと言っている。
ただ保育園という形態は比較的新しいものなのだから「予防原則」に従って悪影響がないかどうか確認してから採用すべきで今は拡大しすぎであるとも言っている。
(他にも別の論文がメディアで「ソーシャルネットワークはがんや病気の原因」と間違って報道されたという記事があったりでもともと守旧的勢力に使われやすい主張なのだろう。「予防原則」という言葉は新しいものが嫌いな人にとってはとても便利。)