食品安全情報blog過去記事

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肉製品のトランスグルタミナーゼ

Transglutaminase in Meat Products
09.12.2011
http://www.bfr.bund.de/cm/349/transglutaminase-in-meat-products.pdf
食品を加工する際に、トランスグルタミナーゼ(TG)酵素は小さい肉を大きな塊にくっつける「のり」として使用される。通常微生物由来の酵素mTGが使用される。一般的にはこれまでいわゆる「粘着ハム」との関連で語られてきた。議論の際に、食品に添加されたmTGがセリアック病患者にとって健康リスクとなるかどうかについての疑問が提示された。「酵素で粘結されたハム」に含まれるmTGについての研究からは、たとえ活性のあるものであっても酵素それ自体が消化機能に問題のない健康なヒトに健康リスクとなることは示唆されない。mTGは各種タンパク質を架橋することがわかっている。適切なデータがないためこれらについては現時点では評価できない。mTGは食品に含まれるタンパク質と反応して構造的にグルテンに類似した化合物を作ることを示す実験的研究があり、グルテンはセリアック病患者では免疫学的反応を誘発する。しかし現時点ではこれが腸粘膜を傷つけるなどの健康リスクになるかどうかは良くわからない。この分野の十分な臨床研究がないという点で、セリアック病患者にとってmTGが臨床的に意味のある健康リスクとなる可能性は否定できない。食品に適切な表示をすることで科学的根拠が不確実なものを患者が避けることが可能になるだろう。さらにそのような表示は「酵素結着剤」の使用について消費者への情報提供にもなる。食品中のmTGを不活性化するには加熱すればいい。セリアック病患者へのリスクは、仮にそれが存在するとしても、それでほほ完全に排除できるだろう。セリアック病患者にとってはグルテンを排除することでのみ病気が管理できることに変わりはない。

ドイツ語フルバージョンは以下
http://www.bfr.bund.de/cm/343/transglutaminase-in-fleischerzeugnissen.pdf