食品安全情報blog過去記事

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包装に使われている化学物質がワクチンの効果を弱める−専門家の反応

SMC
Packaging chemicals weaken vaccinations- experts respond
January 25th, 2012.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2012/01/25/packaging-chemicals-weaken-vaccinations-experts-respond/
くっつかない調理器具や水をはじく衣類、ファストフードの包装材などに広く使われているパーフルオロ化合物(PFC)が、子どものワクチン接種後の免疫応答の低さと関連することを新しい研究が示した。
デンマークアメリカの研究者らが587人の子どもの5才と7才の時の破傷風ジフテリアのワクチンへの免疫応答を調べた。PFCは母親の妊娠時の血中濃度と子どもが5才の時の血中濃度を調べた。JAMAに発表された結果は、PFC曝露がワクチン接種後の抗体反応の低さと関連するというものだった。主要PFC 3種の濃度が2倍であることは、子どもが7才の時の血清中抗体濃度が49%低いことに関連していた。
主著者であるHarvard School of Public HealthのPhilippe Grandjeanは「PFCによる子どものワクチン接種への負の影響は公衆衛生上の脅威とみなすべきである」と述べている。
英国SMCが以下の専門家の意見を集めた
Leeds大学環境毒性学教授Alastair Hay
PFC濃度の高い子どもの抗体濃度が低いことが示された。これは何を意味するか?1つは健康や環境当局への警告だろう。ただしパニックになるべきでもない。観察されたことをしっかり確認して評価する必要がある。
独立した毒性学者Anthony Dayan教授
妊娠後期のPFC濃度と5才の子どもの抗体濃度の関連は強くない。また適切な免疫のために必要な抗体濃度より低いという主張には参照文献がない。
さらに海洋生物の多価不飽和脂肪酸が免疫応答を抑制するという十分な情報があるがこのことについて調整もせず言及すらしていない。食生活はPFCの暴露源でもあるが多価不飽和脂肪酸の暴露源でもある。

  • Serum Vaccine Antibody Concentrations in Children Exposed to Perfluorinated Compounds

Philippe Grandjean et al.
JAMA. 2012;307(4):391-397
http://jama.ama-assn.org/content/307/4/391
(水銀とPCBのファローコホートでの結果。Grandjeanさんはいつもこんな感じ。しかし免疫って抑制されたほうがいいのか活性化された方がいいのか簡単に言えるのだろうか。アレルギーや自己免疫疾患は困るし感染症防御は必要だし。)

  • Natureニュースでも

工業化学物質が免疫系に傷害をあたえるかもしれない
Manufacturing chemicals may damage the immune system
24 January 2012
http://www.nature.com/news/manufacturing-chemicals-may-damage-the-immune-system-1.9877