食品安全情報blog過去記事

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玄米シロップのヒ素についてのFDAの声明

FDA Statement on Arsenic in Brown Rice Syrup
February 17, 2012
http://www.fda.gov/Food/FoodSafety/FoodContaminantsAdulteration/Metals/ucm292531.htm
FDAは食品中の汚染物質からアメリカの公衆衛生を保護する役割を担っていて20年以上ヒ素含量を測定している。
ヒ素は土壌中に天然に存在し長年農薬としても使われてきたためするため、多くの食品に微量存在する。そのためFDAは消費者保護のためコメにも調査を拡大してきた。実際2011年10月からFDAはコメとコメ製品のヒ素の濃度と種類を知るためさらなるヒ素調査を開始した。この調査は2012年春に完了する予定である。
FDAはオーガニック玄米シロップ(OBRS)を含む乳児用ミルク製品を知らない。1ブランドの「幼児用ミルク」でOBRSを甘味料として使用している。この製品は12ヶ月以上の子ども用と表示されており、さらにこの製品を12ヶ月以下の乳児に使用する前に医療の専門家に相談するよう表示されている。

注:メディアがヒ素パニック
オーガニック食品にヒ素が入っている
Organic Foods Can Be Loaded With Arsenic
Thu Feb 16, 2012
http://news.discovery.com/human/baby-formula-arsenic-121602.html#mkcpgn=rssnws1

玄米シロップにヒ素
Arsenic found in organic brown rice syrup
Feb 16, 2012
http://www.cbc.ca/news/health/story/2012/02/16/arsenic-rice.html
オーガニックと表示されている食品を健康と環境のために良いと思って使っていたのに、オーガニック玄米シロップには無機ヒ素が多く含まれると米国の研究者が言う。
Environmental Health PerspectivesにDartmouth College in HanoverのBrian Jacksonが報告。

  • ヒ素、オーガニック食品、玄米シロップ

Arsenic, Organic Foods, and Brown Rice Syrup
Brian P. Jackson et al.
http://ehp03.niehs.nih.gov/article/fetchArticle.action?articleURI=info%3Adoi%2F10.1289%2Fehp.1104619
玄米シロップのヒ素濃度は総ヒ素で78-406 ng/g、そのうち無機ヒ素が51-91%、DMAが6-46%、MMAが3-4%
シリアルバーの総ヒ素濃度は8-128 ng/gで、原材料にコメを使っていると高くなる
玄米シロップを使った乳幼児用飲料の無機ヒ素とDMAの合計はEPAとWHOの飲料水基準である10 ppbの数倍になり、そのような製品を飲む乳幼児の暴露量も安全基準より高くなる、という論文。従って食品中のヒ素についての規制値が緊急に必要である(an urgent need for regulatory limits on As in food)と結論。
(オーガニックも玄米もあまり本質的ではなく、コメそのものがヒ素濃度高め。ただオーガニック玄米シロップというものがかなり特殊な「自然食品」であるためその手のものを良いと信じていた人たちにとって衝撃的だったということだろう。そんな基本的なこともふまえずに健康によいと信じていること自体おかしいんだが。)